Web3に取り組む金融庁、デジタル庁の本当の姿とは。イベント最後のセッションで明らかに?【JBW Summit at IVS Crypto】
相談窓口の活用を
牛田:金融庁でも民間でも本質的な違いはないと思っている。突き詰めると、世の中を良くするために必要なことがあり、我々の仕事としては利用者保護、金融犯罪の防止、金融システムの安定などがある。 おそらく、さまざまな担当部署と日頃やりとりされているなかで、あまり良いユーザー体験をしていないケースもあると思うが、そこは先ほどあったように、もともと必要があったからこそ、規制が生まれた。決して監督側の人間もイノベーションを無視しているわけではなく、むしろイノベーションとリスクの低減を両立させるためにがどうすればよいかを考えている。 とはいえ、ブロックチェーンやAIなど、新しい技術を使ったアプリケーションで、これまでにない金融サービスを提供するのがフィンテックだとすると、やはりビジネスモデルを理解するとか、どこにリスクがあるかは理解がなかなか難しいことがあるので、我々としては皆さまとできるだけ率直にディスカッションして、監督当局の間をうまくブリッジするような役割を担いたい。 松澤:金融庁の方が組織として出来あがっていて、機能もきちんと整っている。デジタル庁は、当初は文化祭みたいな勢いがあって、お祭りのように作り上げてきたところがある。ただ、デジタル庁は所管している業法などが存在しないので、実は民間の方々や自治体の方々とのやり取りが非常に難しい。例えば相談窓口で相談していただいたとしても、具体的にお答えできることがない。だから、一緒に悩む、一緒に考えるというスタンスで進めている。 例えば、我々はマイナンバーカードやマイナポータルを開発している。ここにデジタル証明書(Verifiable Credential:VC)を組み合わせることができるのではないかとのお問い合わせをいただいた際も「YES/NO」ではなく、「こうすればVCがうまく活用できて、より良いサービスになるのではないか」というスタンスで進めている。 民間事業に我々のサービスが組み込まれることで、国民の生活が豊かになることにつながるのではないかと考えている。デジタル庁もいろいろ取り組んでいるが、まだまだ情報発信ができていない。 牛田:暗号資産とかステーブルコインなど金融庁が関わるテーマも当然あるが、Web3全体は金融庁だけだと到底取りまとめ切れない。金融庁にもフィンテックサポートデスクという窓口があり、どしどし連絡をいただきたいと思っているが、金融庁に相談する前にワンクッション置きたい場合は、ぜひ、デジタル庁に問い合わせていただきたい。