Web3に取り組む金融庁、デジタル庁の本当の姿とは。イベント最後のセッションで明らかに?【JBW Summit at IVS Crypto】
多様なメンバーがいる金融庁、デジタル庁
伴:今回のセッションは、3日間の最後のセッションなので、少しフランクに進めたい。聴衆の皆さんの中には「この人たちは相談しても、わかっているのか」みたいな疑問もあると思うので、まず2人にキャリアについても聞きたい。デジタル庁は新しい組織だが、松澤さんはもともと何をしていたのか。 松澤(右):外資系金融機関の東京オフィスに入り、そこから香港に移って、8年半住んでいた。香港では、不動産系のファミリーオフィスでWeb3やフィンテックなどに投資していた。香港でずっと仕事しようかと考えていたところに、金融庁からお誘いいただいて、2020年に牛田さん、伴さんのいるイノベーション推進室に入った。 そこで2年働いた後、ファンドを立ち上げる準備をしていたときに、デジタル庁は人手不足なので手伝って欲しいと言われ、今は常勤の国家公務員ではなく、非常勤の国家公務員としてデジタル庁で働きながら、ファンドの運営にも携わっている。 牛田:伴さん、松澤さんに比べると、私のキャリアはつまらなくて、2010年に新卒で金融庁に入ったというだけ。10年ぐらいは普通の仕事をやっていたが、2019年に人事から「ブロックチェーンをやる気はあるか」と言われた。その時はロンドンに留学中だったが、さらに2年間、アメリカのジョージタウン大学でブロックチェーン技術も含めて、ガバナンスや規制の研究をした。最初に書いた論文は、DeFi(分散型金融)とDAO(分散型自律組織)ついて。3年前に東京に帰ってきてからはブロックチェーンも含めたフィンテック全般を担当している。 伴さんも含めて、東京にいる人材は全員外部から来ていただき、金融機関もいれば、日銀や東京都など、多様なメンバーがいる。金融庁プロパーだけではテクノロジーやビジネス、特にフィンテック分野ではついていけないので、各分野で知見を持っている方に来ていただいている。伴さんもフィンテック企業から来て、金融庁はどうですか? 伴:私は新卒でマネーフォワードというフィンテック企業に入り、2年弱経った際に、共同創業者の瀧さんから「金融庁に出向しないか?」と突然DMが来た。当初は金融庁で働くイメージが湧かず「ちょっと難しいかもしれない」と答えたが、業務内容を聞くと、自分の強みを活かせる職場だと思った。現在は事業者の皆さんや海外当局との対話、「Japan Fintech Week」の運営等を担当しており、とても楽しく働いている。 金融庁に来て、改めて感じたことは、日本は規制が厳しい、緩和が必要などと言われるが、必要なことを必要だから行っているということ。入ってみて、身をもって感じている。民間とパブリックセクターのどちらも経験でき、良かったと思う。