強い経済実現へ「戦略的な財政出動」を、高市氏が総裁選へ立候補表明
(ブルームバーグ): 自民党の高市早苗経済安全保障相が9日、記者会見を開き、総裁選への立候補を表明した。高市氏は総合的な国力を強化するために「何よりも経済成長は必須」だとし、財政出動の重要性を前面に押し出した。
会見で高市氏は、大胆な「危機管理投資」と「成長投資」で、「安全・安心」の確保と「強い経済」を実現すると言明。さまざまなリスクを最小化し、先端技術を推進する「戦略的な財政出動」により、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善する取り組みを示した。これによって「税率を上げずとも税収を増やす強い経済を支援する」と説明した。
立候補を正式表明した7人の間では、経済財政政策も争点となっている。林芳正官房長官や河野太郎デジタル相は財政規律を重視する考えを示した。一方で、小林鷹之前経済安全保障担当相は「経済は財政に優先する」と発言。安倍晋三元首相の後継を自認する高市氏は積極的に財政出動を行う考えをより明確化した。
日本の財政状況について高市氏は、債務単独では非常に厳しい状況だが、「資産を合わせて見たネットで見ていくとG7(主要7カ国)の中でも上から2番目で良好」と指摘。国・地方を合わせた基礎的財政収支(PB)の黒字化目標に関し、「今の税収なら自然に達成される」と語った。消費税減税は「今の経済状況を見る限りは考えていない」と述べた。
安倍政権以降、政府と日本銀行は物価安定目標2%を掲げてきたが、現状はエネルギーと生鮮食料品を除いたコアコアで見ると1%台で「まだ弱い」と指摘。外的要因に押し上げられており、目標が「達成できているとは言えない」との見方を示した。
また、エネルギー・資源安全保障の確立についても触れ、「エネルギー自給率100%を目指す」と言明。2020年代後半に向けて小型モジュール炉(SMR)など次世代革新炉に投資し、30年代に向けてはウランやプルトニウムを使わない高効率な核融合発電の開発に力を入れるとも語った。