藤井聡太と伊藤匠の表情が一変した“ある質問”…伊藤匠「新叡王」誕生、“テレビに映らなかった”舞台裏「すごく汗をかいていて…」
貞升南女流二段が見た新叡王の汗
伊藤と藤井が大盤解説会の会場に到着した。それぞれマイクを持つと関係各所へのお礼を口にするとともに、対局を振り返る。すると会場に詰め掛けた約400人、さらに関係者と波及して5秒、10秒……25秒ほど、万雷の拍手は鳴りやまなかった。 2人が去ってほどなく、聞き手を務めた貞升南女流二段の言葉が、数十分前まで繰り広げられた激闘を何より物語っていた。 「伊藤新叡王の横に立っていましたが、すごく汗をかいていて……体力を使われているのを実感しました」
20時23分 伊藤匠はカメラの前で微笑んだ
40分ほどの感想戦を終えたのち、少しの時間が空いた後に伊藤新叡王誕生を受けての記者会見が始まった。タイトル獲得者となって初めての公の場ということもあってか、花束をもらう伊藤の表情は対局中のように真剣な表情だったが……。 「笑顔、お願いします!」 数多くのカメラに囲まれる中、21歳の新王者から柔らかな笑みがこぼれたのは、20時23分。自身1期目のタイトル獲得が決まった瞬間から111分後のことだった。 明けて21日9時。梅雨入りで雨が降りしきる中、伊藤新叡王の一夜明け会見は始まった。 会見場のカメラクルーは昨日の対局直後の会見に比べるとやや少なかった。その中でスーツ姿で現れた伊藤は、前日夜よりも少しくだけた質問に相好を崩す場面もあった。 タイトル奪取の地・山梨で帰京までにやりたいこと、師匠である宮田利男八段から“25歳までお酒とギャンブル禁止”の言いつけについてなど……それに答える姿は、満面というより穏やかな笑みを浮かべていた。
淀みなく語られた反省点
そんな伊藤が一番淀みなく話したのは、やはり将棋のことだった。 前日の96~99手目付近の進行について質問を受けると、スラスラと棋譜を口にする。そして自らの読みで軽視した部分を課題に挙げつつ、このように話していた。 「本譜は消去法で選んだというところがあります。ただ思いのほか、先手がよさに結びつける順がすぐには見つからなかった、というのは幸運だったと思います」
【関連記事】
- <前編>「いやいやいや…」藤井聡太“まさかの一手”に控室が騒然、解説者は絶句…記者が見た「藤井聡太八冠、最後の1日」
- 【写真】「え!? こんなに表情かわっちゃうの?」将棋盤を前に真剣な表情→ファンの前ですごい笑顔、対局後も神対応の2人の様子を見る
- 藤井聡太でも伊藤匠でもない…小3の全国大会で優勝、藤井世代“もうひとりの天才”はなぜプロに進まなかった?「将棋を指す行為が“嫌い”になった」
- 同学年・藤井聡太21歳から「タイトル奪取あるのでは?」伊藤匠の才能をA級棋士・中村太地が語る「“寝て起きたら強くなる”時期に2人は…」
- 伊藤匠は「夢を半分実現してくれた」かつてのライバル、学生名人・川島滉生が語る“幼なじみ”への思い「たっくんは全てを将棋にささげていた」