「手仕事は世界に誇れる日本の強み」 有松で400年続く伝統技術の未来を担うスズサン5代目が語る
名古屋市有松で400年以上続く伝統技術である有松鳴海絞りを生かしたアイテムを提案する「スズサン(SUZUSAN)」は6月29日まで、ドイツ・ベルリンを代表するセレクトショップのアンドレアス ムルクディス(ANDREAS MURKDIS)でイベント「ハンズ・イン・ジャパン(HANDS IN JAPAN)」を開催中だ。同イベントは「スズサン」のウエアやホームアイテムと共に、モダンな感性と日本の伝統技術を掛け合わせた12ブランドの手仕事を感じる製品を展示・販売するもの。開幕に合わせてベルリンを訪れた村瀬弘行最高経営責任者(CEO)兼クリエイティブ・ディレクターに、「スズサン」の歩みやイベント開催のきっかけから日本の伝統技術に対する思い、そして、これからの夢までを聞いた。 【画像】「手仕事は世界に誇れる日本の強み」 有松で400年続く伝統技術の未来を担うスズサン5代目が語る
興味がなかった家業を継ぐ気になった理由
「小さい頃から布に囲まれて育ったので、日本にいた時は家業に興味がなかった」と明かす村瀬CEO兼クリエイティブ・ディレクターは、もともと職人である父の後を継ぐつもりはなく、アーティストを志して英国に留学。その後、ドイツに移り、デュッセルドルフ国立芸術アカデミー立体芸術及び建築学科で学んだ。「ある時、父が英国で『ニッティング&スティッチング・ショー(The Knitting & Stitching Show)』(消費者向けのテキスタイルイベント)に招待され通訳として同行し、そこで現地の人たちが有松絞りに強い興味や関心を示す姿を目の当たりにして衝撃を受けた。また、別の機会にコンテンポラリーアート界の有名ギャラリストであるビクトリア・ミロ(Victoria Miro)に有松絞りの生地を見せたところ、とても気に入り、たくさん購入してくれた。その時に感じたのは、日本の伝統工芸はヨーロッパにおけるコンテンポラリーアートと同じレベルになりうるということ。そこで、コンテンポラリーアートをやりたい自分の気持ちと家業である伝統工芸という、かけ離れていると感じていた2つがつながった」と振り返る。