自然素材でつくったタイニーハウスは氷点下でも超ぽかぽか! 羊毛・ミツロウ紙などで断熱効果抜群、宿泊体験してみた 「CORONTE(コロンテ)」北海道仁木町
真冬の北海道、自然素材でどこまで断熱できる?
筆者が「CORONTE」を訪ねたのは12月中旬。冷え込みが厳しくなり朝晩はマイナス5度ほど。 「CORONTE」の案内には「Wi-Fiはありません。携帯電話の電波が2本くらい立つポイントがあります」と書いてあり、また暖房も薪ストーブのみということで、キャンプなどに興味のない自分が、たった一人で一夜を過ごせるのだろうかと、行く前には不安がいっぱいだった。
背面から見ると屋根の構造がよくわかる。屋根裏が少し突き出したようになっていて、窓から森の景色が楽しめる。
部屋に入ってみると、とても暖かかった。 19平米ほど(ロフト含む)とコンパクトなこともあり、小型の薪ストーブ1台で室内はすぐに暖まることがわかった。
小さな薪ストーブだが、火をつけるとすぐに室内は暖まる。
奥にキッチンとトイレ、シャワールームがある。ロフトに2つベッドが設置されている。
今回断熱に使ったのは、羊毛、もみ殻石灰。 屋根の曲面部分には羊毛、壁はもみ殻石灰と杉皮ボードで断熱。内壁は、漆喰とシラカバの板を使った。これらの自然素材は調湿、蓄熱にもすぐれ、冬は暖かいのだという。 また厚めに仕上げた漆喰は、蓄冷効果もあり、夏には夜の冷気を窓から取り込んで、温度が下がったらドアを閉めておくと日中も涼しく過ごせるそうだ。
自然には直線は存在しない。木のカーブをそのまま活かして
今回、設計にもこだわり、直線がほとんどない小屋となった。 当初、柱や梁、屋根の構造は直線だったそうだが「自然界には直線はほぼないこと」「風景に調和すること」「木のそのままの曲がりを活かすこと」を考えて、縦長のドーム状となった。 床板も幅の違うシラカバをまるでパズルのように組み合わせた。コロンとした形状からCORONTEと名付けられたという。
床板に使ったシラカバ。カーブをパズルのように組み合わせていった。
また、今回は住宅ではなく宿泊施設であることから、積極的に実験も取り入れたという。モミの木のような形状のヨーロッパトウヒも建材として利用。 「この木は、どんなに太くてまっすぐでも、軽くて弱いということで、ほとんど紙の原料となるパルプ材になってしまいます。でも、使い方によっては合板の代わりになるのではと思いました」 製材して板にし、それを15度の角度で組み、一層目とクロスするように二層目も15度の角度をつけて組んだ。 また、同じく材が柔らかいため建材には使われないドロノキをトイレとシャワールームの引き戸に活用。 「ドロノキの使い道に困っている木こり仲間がいたので、どうやったら建材に応用できるか考えてみようと思いました」