東京メトロはしょぼい?「新NISA民」をターゲットに再び新設&拡充が進む株主優待
10月23日に東京メトロ(東京地下鉄)が東証プライム市場に上場、公開価格の1200円を大きく上回る1630円の初値をつけた。コロナ禍で新規上場が停滞していたこともあり、2018年のソフトバンク以来6年ぶりとなる大型上場に市場は沸いた。 【表】全線定期乗車証も。東京メトロの株主優待乗車証の発行基準 東京メトロの上場で注目されたのが、「全線乗り放題」の乗車証などの株主優待だ。2年半前の東京証券取引所の再編を機に縮小されていくと見られていた株主優待だが、実は今年に入って新設や拡充が相次いでいる。その狙いは? (森田 聡子:フリーライター・編集者) ■ 配当性向40%以上を目指す東京メトロ 東京メトロ株のIPO(新規株式公開)は、とりわけ個人投資家人気が高かったのが大きな特徴だ。大手ネット証券によると、「同社のIPOに応募するための新規口座開設ラッシュが起きた」ほどだったという。 あるアナリストは、人気の大きな要因の1つは「配当性向(税引き後利益に占める配当金の割合)の高さ」だと指摘する。東京メトロは配当性向40%以上を目指しており、1株あたり40円の当期配当(計画)を10月29日の終値(1672円)で割ると、配当利回りは2.39%となる。 上場する大手私鉄株を見ると、近鉄グループホールディングスが1.42%、東急が1.17%、阪急阪神ホールディングスが1.46%、東武鉄道2.03%となっており(いずれも10月29日終値で計算)、まずまずの高水準と言える。 公益性の高い事業内容への安心感もあって、前出のアナリストは「債券のような感覚で購入している投資家が多いのではないか」と推測する。 高水準の配当と共に注目されたのが、株主優待だ。中でも1万株以上の株主に年2回贈られる「全線乗り放題」の定期乗車証は鉄道ファン以外からも話題を集めた。 ちなみに、この全線定期乗車証(期間半年)は9万5420円で一般販売されている。1万株を購入するにはざっと1672万円が必要になるが(10月29日終値で計算)、東京メトロのヘビーユーザーなら一考の価値があるかもしれない。 なお、一般的な優待は、持ち株数に応じて3~75枚の全線きっぷ(有効期間中に片道1乗車に使用可)を半期ごとに受け取れるほか、年1回、3月末時点の株主には同社関連施設の優待券がついてくる。 優待券の内訳は、東京メトロのECサイト「メトロの缶詰」の300円割引クーポン1枚(3000円以上購入した場合、1年間は何度でも使用可)、地下鉄博物館無料招待券5枚、「そば処めとろ庵」のかき揚げトッピング無料券3枚(350円以上利用した場合)、ゴルフ練習場「メトログリーン東陽町」平日限定入場料無料券5枚となっている。 とはいえ、筆者周囲の「優待族」に聞いたところ、東京メトロの優待の評価は正直あまり芳しくない。