日本代表26歳は「もう少しやれた」 指揮官から評価上昇、移籍3か月で古豪のキーマンに【現地発コラム】
指揮官が試合後に口にした指摘
リーズの敗戦を告げるホイッスルが鳴ると、田中の仕草には無念が見て取れた。2ボランチの一角で、7試合連続の先発フル出場を果たした日本代表MFは、しばし俯いたままだった。 自身の出来が悪かったわけではない。指揮官は、「全体的に非常に良くやってくれた。特に前半は目を見張るパフォーマンスだった」と、田中の90分間を評している。 確かに、いてほしい所にいる田中は、繰り返しルーズボールを拾い、中盤深部で味方にパスのオプションを提供しては、シンプルに捌いてビルドアップに絡んでいた。そうした持ち味は、随所で確認された。 しかしながら、計96本のパスには、前半から無難なバックパスが目立った。4日前の前節プリマスス戦(3-0)、「133」を数えたパス本数以上に圧倒的な存在感を示した本領発揮とは違っていた。 この日は、前半26分に見せたようなダイアゴナルパスは希少だった。タイトなスペースでボールを要求し、巧みなタッチで相手選手2人の間を抜けて前方へとつないだ、同37分のようなプレーも限られた。 チームが2位の座を維持するには勝利が必要だった一戦で、影響力を見せるには至らなかった。特に、追う立場での選手交代に伴い、アンカーを務めることになった後半27分以降は。 ファルケはというと、次のように言っている。 「2ボランチでは、ビルドアップにしても、より組織だったプレーが可能だが、相手ゴールに近い位置に頭数を割けるようにしたかった。そこで、アオ1人に中盤の底を任せて(4-2-3-1から)4-1-4-1に移行することにした。 もちろん、もう1人ボランチがいる方が、やりやすかった部分はあるだろう。彼が持つ攻撃面での能力も発揮しやすい。(システム変更後は)より持ち場を意識しなければならなくなった。 そうしたなかでも、1つや2つ、もう少しやれたはずだと感じるような場面は必ずあるものさ。もう少し上手くやれていたらと思うような場面は。ただ、チャンピオンシップのピッチは、3日ごとに結果を出し続けることが求められるような(厳しい)世界。しかも終盤は、それまでの70分間よりもコントロールが難しい展開でもあった。総体的にものを言えば、彼がチームにいてくれることをありがたく思っているよ」 締めの一言は、平日の夜に、2000人強がイングランド北西部から約270キロ離れたロンドン南東部に駆けつけた、リーズ・サポーターたちが一様に頷く光景が目に浮かぶようだ。