寒い季節到来! 「冬は高血圧になりやすい」理由・予防法や降圧剤を薬剤師が解説
高血圧を予防・治療するための薬の種類について薬剤師が解説
編集部: 血圧を下げる薬には、どのような種類がありますか? 村山さん: 血圧を下げる降圧剤は主に、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、利尿剤、β遮断薬、α遮断薬の6種類です。カルシウム拮抗薬は、血管を広げ、血液の流れをスムーズにすることによって血圧を下げます。ARBは、血管を収縮させる「アンギオテンシンⅡ」という物質の作用を抑えることで血圧を下げます。ACE阻害薬は、アンギオテンシン変換酵素という酵素の働きを阻害し、アンギオテンシンⅡの生成を抑えることで血圧を下げます。利尿剤は、水分の排泄を促進し、血液中の水分量を減少させることによって血圧を下げ、むくみなども改善します。β遮断薬は、心臓のβ受容体に作用して心拍数を抑えることで血圧を下げます。α遮断薬は、血管の収縮を抑えることで血圧を下げます。 編集部: 高血圧の薬の使い分けを教えてください。 村山さん: 初めて高血圧の治療を開始する場合は、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿剤が第一選択薬とされています。日本では、まずはカルシウム拮抗薬またはARBを使用し、血圧が十分に下がらない場合に利尿薬を使用する方法が一般的です。心臓の持病がある方は、β遮断薬を最初に使用することもあります。高血圧の薬は、患者さんの症状や血圧、体質、年齢、合併症などをもとに医師が適切なものを選択して処方します。処方された薬は用法・用量を守って正しく服用しましょう。 編集部: 高血圧の薬に副作用はありますか? 村山さん: 高血圧の薬の主な副作用は薬の効きすぎによるめまいやふらつきです。座った状態から急に立ち上がることによって、めまいやふらつきが起こることもあります。急な立ち上がりなどに注意し、転倒を防ぎましょう。副作用が強く現れる場合は、薬の種類や服用量が合っていない可能性があるため、医師や薬剤師に相談してください。 編集部: 高血圧の薬を服用する際に注意することはありますか? 村山さん: ARBとACE阻害薬は、妊娠中に使用すると胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、妊娠している方、妊娠の可能性がある方には使用できません。また、β遮断薬には気管支を収縮させる作用があるため、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの気管支の病気がある方は服用を避けましょう。また、カルシウム拮抗薬はグレープフルーツなどのかんきつ類と飲み合わせが悪く、一緒に飲んでしまうと血圧が下がりすぎてめまいやふらつきなどの副作用が強く出る場合があるため注意が必要です。血圧を適正にコントロールするために、処方された薬の用法・用量を守って正しく服用しましょう。自己判断で勝手に中止せず、何か心配事があれば、医師や薬剤師に相談してください。