フランス人がマルシェで野菜を買う時に「値段よりも重視すること」
欲しいのはリンゴではなく、あの人がつくったリンゴ
パンデミックでご近所の家族が自宅隔離をしたとき、「子どもがまだ小さいのに買い物ができなくて大変だろうな……」と思い、「週末、マルシェに行くけど何か買おうか?」とメッセージで買い物代行を申し出ました。 返信は、「助かる! ジルのリンゴを1キロ買ってきて」でした。 ジルというのはリンゴを生産している男性の名前で、要は、彼が作ったリンゴを買ってほしいという意味なのです。 さらには、ジルがいなかったら、ほかのリンゴは買わなくていいとの追伸もあり。 このように、マルシェの買い物は、何を買うかより、誰から買うかという考え方が浸透しています。 買い物は投票とも言いますね。 リンゴひとつでも素材のおいしさを吟味する、そして信頼できる人から購入する。そんなこだわりを改めて感じた日でした。
本場のフランス料理は質素でシンプル
私は毎週土曜日にマルシェに行くことを楽しみにしています。マルシェの活気ある雰囲気が好きですし、なにより生産者のみなさんが愛情込めて育てた野菜は、どれも味わい深く、幸せを感じることができるからです。 そんなマルシェで毎週野菜を販売しに来るマダムに、「先週のニンジン、とてもおいしかった。今週も1キロください!」と頼むと、彼女は笑いながら「私の野菜で料理がラクになったでしょう」と答えました。 私が出会ったフランスの家庭料理はどれも質素です。義母は塩コショウもせずにテーブルに、「どーん!」と炒め野菜、蒸し野菜を並べます。それは、複雑な味付けをしなくても素材そのものを楽しむ食習慣があるからなのでしょう。 おいしい出汁やソースもいい。でも野菜そのものの味も忘れないように。たまには、凝った味付けをしないで食べてみるのもいいのではないでしょうか。 フランスの夏は、サラダを楽しむ季節です。特に大ぶりの真っ赤なトマトは、定番の夏野菜。 「Coeur de Boeuf 牛の心臓」という品種に出会ったら、ぜひ購入してください。生命力溢れる味わい深いトマトです。 今回は私の大好きなトマトサラダをひとつご紹介します。 ■ギリシャ風サラダ■ ・トマト(一口大に切る) ・黒オリーブ(種を取り、細かく刻む) ・フェタチーズ(手で小さく崩す) ・生バジル(食べる直前にふりかける) オリーブオイルを回しかけて、粒々の塩と胡椒でいただきます。キュウリを加えたり、トマトの半量をスイカにしたり、お好みでアレンジしてみてください。このサラダと、キンキンに冷やしたロゼがあれば、気分は南仏です。
ロッコ