「令和のブラックマンデー」でヒヤッとした”シニア世代”は要注意、60歳以上が「やってはいけない資産運用」の”ヤバい落とし穴”を大公開…!
「人生100年時代」に待った! 自分で100歳まで資産運用できる人は「ほぼゼロ」の現実
最近は、やたらと「人生100年時代」が強調され、投資も100歳までできるような錯覚を起こしているシニアも少なくない。しかし西崎氏は、「人生100年時代でも、100歳まで自分で資産運用ができる人はほぼいない」と釘を刺します。 「どんなに元気な人でも、100歳まで自分で投資やお金の管理ができる人はまずいません。シニアの投資も、若者と同じように長期・分散・積立が原則ですが、60歳から100歳まで40年間積み立てするというのは現実的ではありません。 シニアの投資のゴールは、お金を増やし続けることではなく、増やしたお金を使って、老後の生活を充実させることです。60歳以降は、年齢的な変化も考慮しながら、投資する商品を見直し、一定の年齢になったら現金化するといった出口まで決めておくことが重要です」 分散投資についても、全世界や米国の優良企業の株式に分散投資する投資信託では、リスクの分散にはならないことを知っておかなければならない。 「分散投資は、資金をひとつの資産に集中させず、値動きの異なる資産に分散させてリスクを抑えることが目的です。株だけに投資してもリスクは変わりません。株のほかに、債券、RIETといった異なる値動きの金融商品を組み合わせ、それぞれに投資する割合を増減させてリスクをコントロールします。 一般的に、投資をするときは“年率〇%で運用する”といったリターンばかりに目が行きがちです。しかし、実際は、相場はいいときもあれば悪いときもある。必ず毎年決まったリターンが得られるわけではありません。リターンが大きければ、その分リスクも大きくなります。8月のような大暴落でショックを受けないためには、ポートフォリオがハイリスクになりすぎていないか見直してみてください」 ポートフォリオのリスクを抑える方法として、西崎氏はNISAの成長投資枠で債券ファンドを購入する方法や、特定口座で国債や米国債といった個別債券を購入する方法があるという。 「債券は、株式と異なる値動きをするだけでなく、値動きのリスクも小さいのが特徴です。一般的にポートフォリオのリスクを下げたいときは、株式の割合を減らし、債券の割合を増やします。NISAだけにこだわらず、特定口座も活用して、債券の割合を増やすことをおすすめします。 また、シニアは退職金や老後資金などのまとまったお金を一気に投資してはいけません。毎月1万円ずつコツコツ積み立てる必要はありませんが、ある程度、資金を分けて投資したほうがいいでしょう。たとえば、500万円の原資なら、50万円ずつ10回に分けて投資します。そうすると、“ドル・コスト平均法”により、株価が高いときには少ない口数、株価が安いときには多い口数が購入できます。結果として購入価格が平均化し、高値づかみするリスクを軽減できます」 さらに、大暴落でヒヤヒヤした人に朗報もある。 「投資信託の積立投資では、基準価額がずっと上がり続けるよりも、運用中に値下がりした期間があったほうが資産を増やすチャンスが高まります。その理由は、値下がりしたときに多くの口数が集められるため、その後、値上がりしたときの利益が大きくなるからです。大暴落時にはパニックを起こさず、むしろ“多く買えている”と思って、冷静に構えてほしいですね」 60歳前後は資産運用の分かれ道。いつまでも若者と同じような右肩上がりの資産運用シミュレーションを眺めて、お金を増やす幻想にとり付かれていてはいけない。リスクを抑えた運用を自分でコントロールし、相場がどう動いても冷静でいられるポートフォリオを作ることが肝心だ。 あなたがもし、定年前後でオルカンやS&P500をNISAで黙々と積み立てているなら、一度、自分の投資のゴールについて考えてほしい。 西崎氏が監修した『60歳からの得する!シニア投資術』(ART NEXT)では、投資プランの立て方から投資のやめ方や現金化するタイミングまで、シニアに役立つ投資の知識が紹介されている。新NISAの運用に不安や疑問がある人は、ぜひ読んでみてほしい。 『60歳からの得する!シニア投資術 』 監修:西崎 努(シニア投資コンサルタント/リーファス株式会社代表取締役社長) 監修者プロフィール 西崎 努 TSUTOMU NISHIZAKI シニア投資コンサルタント リーファス株式会社代表取締役社長 2007年にSMBC日興証券に入社、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール、ロンドンでの海外研修も経験。帰国後はIPOや公募増資等の引受業務に従事する。2017年に独立し、リーファス株式会社を設立。おもにリタイア前後期や高齢期の投資家に資産運用のアドバイスを行う。著書に『老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門』『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』(いずれもアスコム)など。 執筆者プロフィール 加茂 直美 NAOMI KAMO フリーライター。おもに年金、老後資金、行政手続きなどの細かい情報をリサーチし生活に活かすための記事を執筆。行政書士の資格を持ち、行政書士事務所オフィスリーガルブレーンを主宰。『じぶん年金の増やし方ともらい方がわかる本』(山中伸枝 監修/宝島社)、『税理士に聞く!サラリーマン、フリーランスのための手取り最大化術』(板倉京 監修/宝島社)、『60歳からの得する!年金 働きながら届け出だけでお金がもらえる本2024-2025年 最新版』(小泉正典 監修/ART NEXT)、『60歳からの得する!シニア投資術』(西崎努 監修/ART NEXT)などの取材、企画、構成、執筆を担当。
加茂 直美(ライター)
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