「公園でのボール遊び禁止は誰のため?」“公園のルール”本気で変えた杉並区。きっかけは“小学生のひと言”だった
子どもと一緒に公園に行ったのに、「ボール遊び禁止」「大声禁止」などの禁止看板を見て、この公園では遊べないとがっかりしたことはないでしょうか。近年、こうした公園での“禁止ルール”が増えています。
そんな中、東京都杉並区が「新しい公園のルール」を7月から試行。禁止されていたボール遊びや自転車の練習などが条件付きでできるようになったり、以前は団体で区に申請をしないとできなかった花火も、5人程度で行うのであれば申請不要でOKに。こうしたルールの緩和に、SNS上では「杉並区よくやってくれた!」「全国の公園に広まってほしい」などの声が見られます。 なぜ今、「新しい公園のルール」を作ったのか。杉並区みどり公園課の大場将国さんにお話を聞きました。
小学生のひと言で気がついた“大きな問題”
――新しい公園のルールを試行したきっかけを教えてください。 大場将国さん(以下、大場)「杉並区には、住宅地の中にある小さな公園が多くあります。そのため、以前より近隣の方々や利用者の方からさまざまな声を頂いていました。メディアでも時折話題になりますが、騒音の問題や、安全の確保が難しいボール遊び、ペットの散歩問題です。 こうした声を受け、近隣の方々への配慮のために、禁止事項が増えていきました。たとえば、幼児用の柔らかいボール以外は一律でボール遊びが禁止されており、花火も申請がないとできないというルールです。 そんな中、小学生が『夏休みに家族で花火がしたいのに、できません』と区長の岸本(杉並区長・岸本聡子さん)に話してくれたことがありました。区民が自由に使えるはずの公園が、自由に使えていない。区長をはじめ、私たちは改めて考え直す必要があると感じました」
子どもたちにしわ寄せがいかないように
――庭のない集合住宅に住んでいる方も多く、都心で花火をするのはハードルが高いですよね。
大場「はい。全国の自治体でも、花火大会が開催できなかったり、さまざまな理由で催し自体が少なくなったりしてきていますよね。近隣の方々への配慮を大切に考えながらも、やはり公園は子どもたちの居場所として大切だという視点もあります。コロナ禍の時もそうでしたが、禁止事項を作ると、どうしても子どもにしわ寄せがいってしまうことに、もどかしさを感じていました。 これまでも公園のルールを少しずつ見直すことはありましたが、20年間、大きな変更はありませんでした。ですが今こそ、生活スタイルや状況に合わせて公園のルールを改善する必要があるのではないかと考え、見直しを始めました」