「公園でのボール遊び禁止は誰のため?」“公園のルール”本気で変えた杉並区。きっかけは“小学生のひと言”だった
花火にボール遊び、喫煙ルールも大きく変わった
――「新しい公園のルール」でこれまでと大きく変わった点を教えてください。 大場「花火の使用に関しては、これまでは区への事前申請が必要だったのですが、家族単位で行う場合は申請が不要になりました。 期間・花火の種類・人数・場所の条件はありますが、期間を夏休み中とすることや種類を手持ち花火とするなどの条件に関しては今までのルールを引き継いでいます。基本的なルールは引き継ぎつつ、人数や対象の公園等を明確にすることで事前の申請をなくし、手軽に花火ができるようになりました。また、団体での利用も手続きを簡略化し、オンラインで申出いただけます。 ボールの使用に関しては幼児用の柔らかいボール以外は一律使用不可だったものを、場所や用途を決めて使用できるように変更しています。また公園での喫煙は、今まで喫煙可能だったものを、分煙施設のある公園以外では不可としています」
――公園での喫煙は、特定の公園以外すべて不可になったんですね。 大場「今まで23区の中でも、ほぼすべての公園で喫煙を可としていたのは杉並区だけでした。社会的に全面的な禁煙の流れは強くなっているので、本来であれば一律で禁煙とするほうが自然な流れだったと思います。ただ、一律不可とするのは簡単ですが、結局守られないルールというのはルールが現状に合っていないのでは? という議論になりました」
喫煙についてのアンケートで「意外な結果」に驚く
――たしかに、守られない形だけのルールでは意味がないですよね。 大場「はい。そこで公園の利用者の方々にアンケートで聞いたみたところ『喫煙を一切禁止にすべき』という声は半数ほどでした。我々も驚いたのですが、4割以上の方は『周囲に配慮し、専用のスペースが設けられていれば喫煙してもいい』と回答をされたのです。大多数の方が、『喫煙は一律不可』と回答されると思っていたので、これは意外でした」 ――実際に公園を利用されている方にアンケートをとったことで、実態が見えてきたのですね。 大場「もちろん、喫煙による子どもの健康被害があってはいけないという前提は変わりません。吸い殻のポイ捨てもあってはならないことです。ただ、実際に公園に行くと、疲れて営業の合間に一服されている方や、暑い中、交通誘導員の方が仕事を終えて一服している姿もよく目にします。 公園はいろんな方が利用する場所である以上、現在の利用者を完全に無視することはできません。ですから、一律に禁止とするのではなく、分煙施設がある公園であれば喫煙できるという条件をつけています。 とは言いましても、7月に『新しい公園のルール』を試行して以降、『全面的に禁煙にすべきだ』というお声もいただいています。現在は試行期間ですので、そういった声も情報共有しながら、このルールを来年度以降も本格実施するか、実施するのであればどのような内容にするのかを検討していきたいと思います」