都立高校vs私立中高一貫校「指定校推薦」の知られざる実態 私立校では理不尽な事態が起こるケースも
私立の中高では「指定校推薦枠」をめぐり理不尽な事態も
親の世代が高校生だった頃には存在しなかった新しい形態の高校も誕生している。 「晴海総合高校は、大学のように受講する科目を選択できる都立初の総合学科の高校で、500以上の指定校推薦枠を持っています。得意科目に専念できるので評定を取りやすいうえ、多くの総合学科で2年次から行なう課題研究のカリキュラムに乗るだけで、総合型選抜で提出する実績ができあがるという強みがあります」(同前) 公立高校には、ほかにも芸術系や海洋系などさまざまな専門科があり、こうした専門性を活かして指定校推薦や総合型選抜で大学に進学するルートが存在している。 一方の私立中高一貫校も、学力レベルに応じて、早慶上理以下、多くの私立大学からの指定校推薦枠をもっているが、その扱いによっては理不尽な事態が起きると東田氏はいう。 「私立中高一貫校のなかで中堅もしくはそれ以下の学校の多くは、入試成績によって生徒を選抜コースと一般コースに分け、選抜コースでは難関大学に合格するためのカリキュラムを組んで大学進学実績を上げようとします。こうした学校では、選抜コースの生徒は指定校推薦を利用できないことが多い。選抜コースの生徒には一般入試で合格実績を稼いでもらい、一般コースの生徒には指定校推薦で合格実績を重ねてもらうという戦略です。 しかし、当の選抜コースの生徒は、一般コースの子が指定校推薦で入っていく大学に、自分は必死に勉強して一般入試で合格しないと入れないという現実に、理不尽さを感じてしまう。選抜コースの生徒は部活動禁止の学校もあり、部活を我慢して真面目に勉強している子が損をしている。公立高校では、こうした制限はほとんどありません」 選抜コースの生徒には、難関大学に合格するための手厚いサポートがあるので、その代償ということなのかもしれない。入学する時点で指定校推薦が使えないことを知っていて、納得しているのなら問題ないが、知らずに入ると不満が残りかねないので、受験前に学校説明会などで質問して確認することをお勧めする。
取材・文/清水典之(フリーライター)
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