たんぱく質の多い食品一覧 朝・昼・晩の献立例と効率よく摂取するコツ たんぱく質の多い食品一覧
食事から摂取するたんぱく質は、身体を構成するたんぱく質や身体を動かしていくために必要なたんぱく質を作る重要な役割を担っています。 この記事では、たんぱく質の働きや不足時のリスク、たんぱく質が豊富な食品のリスト、さらに効率よく摂取するポイントや実用的なレシピを紹介します。健康を意識し、たんぱく質を効率的に摂取したいと考えている人は、参考にしてください。
1.たんぱく質とは
人の身体を構成する成分で最も多いのは水分で、全体の60%程度を占めています。次いで多いのがたんぱく質であり、15%程度を占めています。たんぱく質は私たちの身体にとって重要な栄養素であり、多くの基本的な生理機能を支えているのです。 以下に、たんぱく質の働き、たんぱく質が不足することで起こる問題、1日の摂取推奨量について紹介します。 (1)たんぱく質の働き 食事から摂取するたんぱく質は、身体を構成するたんぱく質や、身体を動かしていくために必要なたんぱく質を作る「材料」として重要な役割を担っています。筋肉の主要な成分であることはいうまでもありませんが、皮膚、内臓、毛髪、爪もすべてたんぱく質を構成成分に含んでいます。 骨の構成成分を、鉄筋コンクリートに例えてみましょう。「鉄筋」にあたるところはたんぱく質の一種であるコラーゲンであり、「コンクリート」の部分がカルシウムというミネラルが主成分となっています。また、生きていくために生体内で生じている反応をつかさどる酵素、物質輸送、貯蔵、ホルモンや生体防御にかかわる因子などもたんぱく質です。 食事から摂取するたんぱく質は、エネルギー源としても利用されます。摂取したたんぱく質は、体内でアミノ酸に分解されて吸収されます。その利用のされ方は、筋肉や内臓を構成する体たんぱく質となるもの、ホルモンや抗体となるもの、脂肪として蓄積されるもの、エネルギーとして使われるものなどさまざまです。なお、1gのたんぱく質は約4kcalのエネルギーを生じます。 (2)たんぱく質不足で起こる問題 たんぱく質は人間の体にとって重要な栄養素であり、健康を維持するために必要な適切な量を摂取することが重要です。しかし、たんぱく質が不足すると、筋肉量の低下、意図しない体重の減少、疲労感、むくみ、免疫力の低下などの症状が表れる可能性があります。 詳しくは、以下をご一読いただけましたら幸いです。 たんぱく質不足で表れる症状は? 不足する原因や改善のポイントも解説(https://www.asahi.com/relife/article/14932547) (3)たんぱく質の1日の摂取推奨量 たんぱく質の1日摂取推奨量の目安はいくつかありますが、もっともわかりやすい目安が「体重」です。フレイルやサルコペニアの予防も考えるのであれば、体重1kgあたりたんぱく質1g、つまり自分の体重(kg)と同じ数字のグラム数だけたんぱく質を摂取するとよいでしょう。 一方で、厚生労働省が提示する摂取推奨量もあります。ここでは、日本人の食事摂取基準(2020年版)(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)に基づく、たんぱく質摂取に関する情報をお伝えします。 ①たんぱく質の摂取目安を示す3つの指標 たんぱく質の不足を回避するための目安として、以下の3種類が設定されています。 【1】推定平均必要量(Estimated Average Requirement, EAR) ・半数の者が必要量を満たす量 【2】推奨量(Recommended Dietary Allowance, RDA) ・ほとんどの者(約97~98%)が充足している量 【3】目標量(Tentative Dietary Goal for Preventing Lifestyle-Related Diseases, DG) ・生活習慣病の発症予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。総エネルギー摂取に対する割合で示されている 基本的には、個人差を考慮し、多くの人に適用可能なRDAを目安にして摂取することが望ましいです。一方、EARは最低基準であり、これ以下だとたんぱく質不足の可能性があります。DGは生活習慣病の予防において重要ですが、具体的な目安としては推奨量RDAが優先されます。 ②たんぱく質の1日の推定平均必要量・推奨量・目標量 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、たんぱく質の1日の推定平均必要量、推奨量、目標量を、以下のように提示しています。 〈身体活動レベルⅠ~Ⅲの目安〉 身体活動レベルⅠ:1日のうち、座っている時間が長い人 身体活動レベルⅡ:座っていることが多いが、運動や散歩をする人 身体活動レベルⅢ:立ち仕事をしている人や活発に運動している人 日本人の食事摂取基準(2020年版)p.116・p.126(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)をもとに筆者作成 <男性> ■15~17歳 推定平均必要量(EAR)50g 推奨量(RDA) 65g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 81~125g 身体活動レベルⅡ 91~140g 身体活動レベルⅢ 102~158g ■18~29歳 推定平均必要量(EAR)50g 推奨量(RDA) 65g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 75~115g 身体活動レベルⅡ 86~133g 身体活動レベルⅢ 99~153g ■30~49歳 推定平均必要量(EAR)50g 推奨量(RDA) 65g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 75~115g 身体活動レベルⅡ 88~135g 身体活動レベルⅢ 99~153g ■50~64歳 推定平均必要量(EAR)50g 推奨量(RDA) 65g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 77~110g 身体活動レベルⅡ 91~130g 身体活動レベルⅢ 103~148g ■65~74歳 推定平均必要量(EAR)50g 推奨量(RDA) 60g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 77~103g 身体活動レベルⅡ 90~120g 身体活動レベルⅢ 103~138g ■75歳以上 推定平均必要量(EAR)50g 推奨量(RDA) 60g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 68~90g 身体活動レベルⅡ 79~105g 身体活動レベルⅢ - <女性> ■15~17歳 推定平均必要量(EAR)45g 推奨量(RDA) 55g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 67~103g 身体活動レベルⅡ 75~115g 身体活動レベルⅢ 83~128g ■18~29歳 推定平均必要量(EAR)40g 推奨量(RDA) 50g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 57~88g 身体活動レベルⅡ 65~100g 身体活動レベルⅢ 75~115g ■30~49歳 推定平均必要量(EAR)40g 推奨量(RDA) 50g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 57~88g 身体活動レベルⅡ 67~103g 身体活動レベルⅢ 76~118g ■50~64歳 推定平均必要量(EAR)40g 推奨量(RDA) 50g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 58~83g 身体活動レベルⅡ 68~98g 身体活動レベルⅢ 79~113g ■65~74歳 推定平均必要量(EAR)40g 推奨量(RDA) 50g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 58~78g 身体活動レベルⅡ 69~93g 身体活動レベルⅢ 79~105g ■75歳以上 推定平均必要量(EAR)40g 推奨量(RDA) 50g 目標量(DG) 身体活動レベルⅠ 53~70g 身体活動レベルⅡ 62~83g 身体活動レベルⅢ - 先述の通り、目安としたい数値は「推奨量(RDA)」です。男女の違いや活動量、体重によって必要なたんぱく質量は異なりますが、50代以上の男女は1日65g以上のたんぱく質を目安にすればよいと考えればわかりやすいでしょう。 ③高齢者は目標量よりも多いたんぱく質摂取が必要 生活習慣病の重症化予防及びフレイル予防を目的として摂取量の基準を設定できる栄養素については、発症予防を目的とした量(目標量)とは区別して示されています。高齢者の場合、フレイルやサルコペニアを予防するために骨格筋を増やす必要があり、上記の目標量では不十分である可能性が高いともいわれています。 例えば、1日で75g以上(毎食25~30g程度)のたんぱく質を摂取することが必要であり、60~70kgの体重の高齢者の場合、たんぱく質を1.0~1.25g/kg体重/日以上を摂取しなければならない、といった指摘もあります(参照:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 p.417丨厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)。 (4)たんぱく質を推奨量以上摂取するための献立例 日本人の食事摂取基準(2020年版)をもとに考えたとき、50代以上の男女に必要なたんぱく質量の目安は65gと考えられます。具体的にどのようなメニューを摂ればよいのか、例を挙げてみてみましょう。 【朝食(たんぱく質量)】 ●食パン6枚切り1枚(5.3g) ●ハムエッグ(11.0g) ●ブロッコリーとマヨネーズ(2.9g) ●カフェオレ(6.2g) 計:たんぱく質25.4g 【昼食(たんぱく質量)】 ●納豆おろしそば(25.9g) ●フルーツヨーグルトサラダ(3.3g) 計:たんぱく質29.2g 【夕食(たんぱく質量)】 ●ごはん120g(3.0g) ●オニオンスープ(2.0g) ●鮭のムニエルこふき芋と人参グラッセ添え(24.1g) ●グリーンサラダ(0.9g) 計:たんぱく質30.0g 合計:たんぱく質84.6g