生息不可能と思われていた海底で生物を発見。ということは宇宙にもいる?
目に見える大きさの生物発見
10~15センチの厚さの溶岩棚の下で、チームは10センチの高さの空洞を発見し、そこに目視可能なチューブワームとムール貝が生息しているのを発見。中には成体もいたそうです。少なくとも1匹のチューブワームは41センチ以上の体長で、空洞が単に生まれるための場所ではないことを示していました。成体のチューブワームは口と腸を失い、体内に住む細菌Candidatus Endoriftia persephoneによって栄養を得ています。海底下の空洞内の温度が生存可能であり、栄養源がワーム自分の体の中にあるため、この極端な環境で問題なく生存することができたのです。 私たちが知っている生命というのは、必須条件がいくつかあるものです。水、炭素、窒素、そして運。これらは生命体に必要不可欠と思われる要素の一部で、地球外生命の探索(アストロバイオロジーと呼ばれる科学分野)の指針となっています。科学者たちは、地球上の最も極端な環境を調査することで、遠い系外惑星から木星の氷衛星の地下海まで、あらゆる場所で生命がいる可能性のある条件をより良く理解しようと研究し続けているのです。 チームは論文で、「海底下生物圏の研究はまだ始まったばかりです。この取り組みは、熱水噴出孔の生物地球化学、生態学、進化、そしてそれが地球規模の生物多様性と連結性に与える影響についての理解を深めることにつながり、最終的には海底表面と地殻下の熱水噴出孔に対する良い管理につながる可能性があります」と述べています。 昨年、あるチームが同じ研究船を使用して海底で生命がたくさん生息している新しい熱水噴出孔を発見しました。そしてその発見を受けたシュミット海洋研究所が、深海採掘作業の標的となる可能性のある鉱物豊富な海底一帯を保護する必要性を訴えかけています。 「活動中の熱水噴出孔のユニークさはよく認識されており、深海採掘などの将来的な人為的影響に対する保護が呼び掛けられている、または既に実施されています。現在その範囲が不明な地殻下の海底における動物の生息地の発見 により、保護の緊急性が高まっています」とチームは述べています。 今回使用された研究船の以前のバージョンの船舶は、海底でひっそりと生存している生命体に光を当ててきました。2021年、この船に乗った研究チームは、人間の免疫システムには認識できない深海の微生物を発見し、私たちの体が外来の微生物を認識する能力が全てを網羅しているわけではないことを示しています。これら生命体は、生命に対する我々の従来の感覚からすれば完全に異質であるだけでなく、私たちの体がそれを生命体として認識することさえできないほど異質ということなのです。 今回の発見は、地球外生命の探索に役立つ可能性が大変高いです。生物が海底下の堆積物を快適な住み家にできるのであれば、深宇宙における生命の可能性を広げることになります。