なぜ黒田監督の発言は響くのか J1町田のキーマンが語る「伝わる言葉の選び方」の真相【インタビュー】
黒田監督は「伝わる言葉の選び方」が秀逸
町田の選手たちは、チームを指揮する黒田監督を「徹底している」と表現する。いわゆる“町田のサッカー”が全体に浸透しており、仙頭も「チームとしてのベースがあるのは選手としてありがたいこと。監督が求めているものをできないと試合に出られない。誰が出ても町田のサッカーができるのがいい結果を残せている要因だと思います」と話しつつ、指揮官の特徴について感想を述べる。 「言葉は伝わってこそ意味がある。『1本中の1本』とか、“伝わる言葉の選び方”はすごく上手だと思います。徹底して伝えるのは伝える側も難しいとは思いますけど、緩みや慢心が見えそうになった時も隙を見せない声掛けをしてくれます。あとは、勝利への執念が凄いです。引き分けであろうと、負けたような雰囲気でチームが締まる。それは上を目指すチームだからこその空気感。選手たちも『やらなきゃいけない』という気持ちになる。勝つためには何をすべきか、練習から監督、コーチらスタッフ陣も空気感を作り出してくれるので、それが試合につながっています。ミーティングとかは高校時代の感じを少し思い出したりしますね(笑)。運で結果が出ているわけではなく、チームとして練習からやってきてきたことが実っているので、この雰囲気を続けていかないといけないと思います」 町田は前半戦で快進撃を見せたが、各チームとの2度目の対戦を迎える後半戦が本当の勝負とも言える。当然、対戦相手も対策を練ってくるからだ。 仙頭は「(身長194センチの韓国代表FWオ・)セフンがいる時は、1つのターゲットになるというのはチームとして武器です。そこだけになってしまうと相手が対策してくるので難しいですけど、優位性があるところをしっかり使っていくのは、サッカーにおいて大切なことだとリーグ戦を戦ってきて実感しています」と語りつつ、リーグタイトル獲得を目指すうえでは、さらなるレベルアップが必要だとも感じている。 「ただ蹴るのではなく、目的を持ってロングボールを使っているのがFC町田ゼルビアのサッカー。状況に応じて、セフンのような背の高い選手がいないとなった時には、しっかり自分たちからうしろからビルドアップして、ビルドアップも細かいパスをすることが目的ではなく、あくまでゴールを取るために何が最善策かと考えないといけない。状況に応じた最善策をチョイスしているので、本当に理にかなったサッカーだと思います。(対戦)2周目は相手が情報を持って分析してくるなかで戦うことになる。自分たちのベースである、戦うこと、ハードワーク、インテンシティーは絶対に失ってはいけないし、まずそこで相手を上回る。(チーム戦術の面から見ても)より1人1人がやれることを増やして、幅を広げていかないといけない」