貯蓄と退職金が「2000万円」あっても70代で「破産」する!? 60歳で定年退職する前に、現役時代から注意すべきポイントを解説
上記例の金額を基に筆者作成
まずは支出の削減、年金受給は繰上げしない方がいい
定年後は現役時代よりも収入が減る分、支出も見直す必要があります。急に生活水準を下げるのは難しいので、定年前から徐々に支出を削減していくことをおすすめします。 まず、毎月の支出額を把握するところから始めましょう。これは支出を削減する第一歩です。毎月の支出を可視化することで、どの出費が無駄なのかを判断しやすくなります。効果が大きいのは固定費(居住費・保険料・通信費など)ですが、ご家庭の状況によっても異なるため、取り組みやすいところから始めるのが良いでしょう。 また、高齢になっても働くことができる場合は、就労を継続することをおすすめします。ただし、現役世代と同じように働く必要はありません。一定の収入を得ることで、年金受給までの貯蓄の取り崩しを防ぐ効果が期待できるほか、年金受給開始時の厚生年金を増やす効果もあります。 具体的に、次の2つのケースで改善を考えてみます。 ケース1:年金を68歳まで繰下げ受給する ケース2:年金を65歳から受け取る ・いずれのケースも生活費を前述の「支出例(32万円)」から15%削減して27万円とする ・ケース1では60~64歳も働き、月収15万円とする ・ケース1の65~67歳の3年間は収入を0とする ※年金の繰下げ受給は「0.7%×繰り下げた月数」だけ受給金額が増額されます。 <改善例ケース1> ■60~64歳 収入:15万円、支出27万円(毎年144万円の赤字) ■65~67歳 収入:0万円、支出27万円(毎年324万円の赤字) ■68歳以降 収入:27.5万円、支出:27万円(毎年6万円の黒字) ※3年間の繰下げ受給により0.7%×36ヶ月=25.2%増額 <改善例ケース2> ■60~64歳 収入:15万円、支出27万円(毎年144万円の赤字) ■65歳以降 収入:22万円、支出27万円(毎年60万円の赤字) 図表2