新幹線も乗り放題の「JR PASS」って何? お得なの? 誰が使える?
JR PASSが2023年に大幅値上がりして利用者が激減した!?
実は、JR PASSは1981年から訪日外国人観光客向けに販売されている歴史ある乗車券で、とても好評でした。しかし、2023年10月1日に大幅な価格改定が行われたため、お得感がかなり失われたようです。 実際に、FAST TRAIN JAPAN合同会社がTokyo CheapoとJapan Cheapoのユーザー1万1,431人に対し、Webサイト上で「JR PASSはお得だと思いますか?」というアンケート調査を実施したところ、なんと「Yes」が40%、「No」が60%。つまり、半数以上のユーザーが「お得ではない」と感じているという結果になったのです(調査期間:2024年5月15日~6月19日、457人回答)。 実際、2023年10月の料金改定により、Tokyo(Japan) CheapoでのJR PASSの販売数は、2023年4月と料金改定後の2024年4月を比較すると90%以上も減少しているといいます。
それもそのはず、普通車用7日間パスはJR指定販売店・代理店(国外販売・改定前)の価格が2万9,650円だったのに対し、23年10月以降は5万円に値上げ。グリーン車用7日間パスもJR指定販売店・代理店(国外販売・改定前)の価格が3万9,600円だったのに対し、23年10月以降は7万円に値上げされているのです。
実際に値上げ後のJR PASSはお得じゃない!?
値上げ後のJR PASSは普通車用7日間(おとな)で5万円となってしまいました。つまり、1日あたり7,150円以上JRの鉄道などに乗車しないと元が取れません。これは営業キロに換算すると、1日あたり430kmも乗車することになります。 実際にJR PASSを利用して東京から新幹線で静岡、京都、大阪、広島、博多を移動し、各駅で1日観光した場合で考えてみましょう。 JR PASSの普通車用7日間(おとな)料金は5万円ですが、通常の新幹線料金で各駅で降りて博多まで行くと3万6,000円ほどで済みます。つまり、JR PASSのほうが1万4,000円ほど損をしてしまう計算になるんですね。というわけで、日本の鉄道にたっぷり乗りたい海外の鉄道マニアでもない限り、なかなかJR PASSで元を取るのは難しいかもしれません。 ただし、JR PASSには“JR PASSは簡単に元が取れないから損”とまでは言い切れない利便性の高さがあります。まず、列車に乗るにはSuicaなどの交通系ICカードを利用するのが便利ですが、Suicaでは近距離移動しかできません。 次に、都市間を結ぶ長距離移動となると“わざわざ乗車券を購入する”手間がかかります。とくに、最近JRではみどりの窓口が縮小され、乗車券を購入するには長い列に並ぶことになり、大変時間がかかってしまいます。 しかし、JR PASSを持っていればこの乗車券購入の手間を省けるので、利便性を考えると必ずしも損だとは言い切れないでしょう。
いかがでしょうか? 今回は訪日外国人観光客をターゲットとしたJRの乗り放題乗車券「JR PASS」を紹介しました。23年10月の大幅値上げによって、JR PASSの魅力がかなり失われてしまったのは仕方ありませんが、日本のJR路線をがっつり堪能したい海外の鉄オタや、毎回のきっぷ購入に並ぶ手間を考えると、実は絶妙な価格設定なのかもしれませんね。
西澤浩一