「色々あるけど欲しいものがないヴィレヴァン」と「自分のための場所と感じるタワレコ」…巨大カルチャー企業の明暗を分けた「本質的な差」とは?
デフレが終わり、あらゆるものが高くなっていく東京。企業は訪日客に目を向け、金のない日本人は“静かに排除”されつつある。この狂った街を、我々はどう生き抜けばいいのか? 新著『ニセコ化するニッポン』が話題を集める、“今一番、東京に詳しい”気鋭の都市ジャーナリストによる短期集中連載。 【画像9枚】驚き!今や「タワレコの店内」はこんなふうになっている タワーレコード(以下、タワレコ)の業績が好調だ。 2024年2月期の純利益は18億8300万円で、前期から85.5%も増加。コロナ禍を経て、リアル空間でのCDショップの需要が激減したにもかかわらず、そこから復活を果たしているのだ。
このニュースを聞いたときに思い出したのは、ヴィレッジヴァンガード(以下、ヴィレヴァン)のことだった。それはなぜか? 「選択と集中」という観点から考えていきたい。 ■タワレコの躍進の理由は「推し活」への「選択と集中」 タワレコはコロナ禍のあおりを受けて、2021年2月期には約18億円、2022年2月期には約9億円の赤字を計上していた。 しかしコロナ禍が収束を迎えた2023年2月期には早くも約10億円の純利益を計上し、リアル空間への揺り戻しの中で一気に業績を上げた。そして今期、2024年2月期では前期比85.5%増という飛躍的な成長を見せている。
ちなみにコロナ禍前の2020年2月期でも約12億円の利益であり、コロナ禍前をはるかに超える業績になっているから驚きだ。 この躍進の理由について、同社のCOO(最高執行責任者)・高橋聡志氏は「応援する人を応援する」店舗づくりを挙げる(「『音楽はサブスク』時代になぜ? 最高益を更新したタワレコ大復活の理由」/AERAdot.)。 特にタワレコでは、売り場で働くスタッフが「応援したい」と思うアーティストがいれば、その知名度や動員数にかかわらず、なるべくインストアライブを実施し、その気持ちを支援しているという。