日銀・黒田総裁会見9月19日(全文1)マイナス金利を維持
わが国経済は緩やかな拡大を続ける
先行きについては、わが国経済は当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けるとみられます。国内需要は消費税率引き上げなどの影響を受けつつも、極めて緩和的な金融環境や、政府支出による下支えなどを背景に企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続する下で、増加基調をたどると考えられます。輸出も当面、弱めの動きとなるものの海外経済が総じて見れば緩やかに成長していくことを背景に、基調としては緩やかに増加していくとみられます。 物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は0%台半ばとなっています。予想物価上昇率は横ばい圏内で推移しています。先行きについては消費者物価の前年比はマクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや、中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられます。 リスク要因としては、米国のマクロ政策運営や、それが国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも含めた中国をはじめとする新興国・資源国経済の動向。IT関連材のグローバルな調整の進捗状況。英国のEU離脱交渉の展開やその影響、中東情勢をはじめとする地政学的リスクなどが挙げられます。こうした海外経済をめぐる下振れリスクは高まりつつあると見られ、わが国の企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要があります。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続します。
注意が必要な情勢になりつつあると判断
政策金利については、海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた、経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定しています。 今後とも金融政策の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行います。特に海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きい下で、先行き物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和の措置を講じます。 以上が経済・物価情勢の判断と先行きの金融政策運営方針です。 その上で、日本銀行はこのところ海外経済の減速の動きが続き、その下振れリスクが高まりつつあると見られる下で、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れにより注意が必要な情勢になりつつあると判断しました。展望レポートを取りまとめる議会の会合では、こうした情勢にあることを念頭に置きながら、経済・物価動向をあらためて点検していく考えであり、その旨を公表文に示したところであります。以上です。