日銀・黒田総裁会見9月19日(全文1)マイナス金利を維持
ECBとFRBの金融緩和の日本経済への影響は
朝日新聞:はい、ありがとうございます。幹事社から2点伺いたいと思います。1つ目はECBとFRBが続いて金融緩和の方向に政策変更を行いました。この欧米の中央銀行の政策変更というのが、金融市場を通じて日本経済に与える、金融市場などを通じて与える影響についてどうお考えかというのと、この欧米の中央銀行が追加緩和を図る中で、今回決定会合で現状維持という判断をされた、この理由についてもお願いします。 黒田:いつも申し上げていますけれども、どの国の中央銀行も、あくまでも自国の経済・物価の安定を実現するということを目的に、それぞれの置かれた状況に応じて金融政策を運営しておられるということだと思います。 もちろんご指摘のように、主要国の金融政策運営は国際金融市場や世界経済に及ぼす影響というものがありうるわけでして、その大きさはその時々の経済情勢や市場環境によって異なりうると思います。日本銀行としてはこうした点も注意深く確認しつつ、経済・物価・金融情勢を踏まえ、毎回の金融政策決定会合において適切な金融政策運営に努めているわけでございます。 今回の会合では、景気が基調としては緩やかに拡大する下で、物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されており、現在の金融政策運営方針を維持することが適当であるというふうに判断したわけですが、海外経済の減速が続いて、その下振れリスクも高まりつつあると見られる下で、物価のモメンタムが損なわれる恐れについては先ほど申し上げたように、より注意が必要な情勢になりつつあるというふうに判断しております。 展望レポートを公表する次回の会合では、こうした情勢を念頭に置きながら経済・物価動向をあらためてしっかり点検していく考えであります。
追加緩和の是非を検討する意味合いがあるのか
朝日新聞:ありがとうございます。あともう1点は今回の公表文の6ポツのところが新たに追加されたと思うんですけども、次回の物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れについて、より注意が必要な情勢になりつつあると。その上で次回のMPMでは経済・物価動向についてあらためて点検されるということを、あらためて書かれたわけですけども、これにつきましてマーケットでは追加緩和の予告ではないかというような見方もありますけども、次回の会合ではより踏み込んでその追加緩和についての是非をご検討されるという、そういう意味合いはあるんでしょうか。 黒田:これは先ほど申し上げたように、前々回の会合のあとの公表文でも、先行き物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じますということをはっきり申し上げていたわけですけども、今回特に海外経済の減速の動きが続いていまして、よりしっかり経済・物価動向をあらためて点検する必要があるというふうに日本銀行として判断したわけでありまして、特に次回は展望レポートを公表する決定会合でもありますので、そういった下振れリスクが高まりつつあると見られる下で、物価のモメンタムが損なわれる恐れについてより注意が必要な情勢になりつつあるということを踏まえて、これまでの政策への基本的な考え方をさらに、より明確にお示ししたということであります。 朝日新聞:はい、ありがとうございます。それでは各社、お願いします。