7000人診察して確信…どんな企業にも絶対いる「他人を見下し、自己保身に走る」人たちの正体
根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。5万部突破ベストセラー『職場を腐らせる人たち』では、これまで7000人以上診察してきた精神科医が豊富な臨床例から明かす。 【写真】知ったら全員驚愕…職場をダメにする人の「ヤバい実態」
どこにでもいる「職場を腐らせる人たち」
私は精神科医なので、自信をなくして不安になったり、イライラして眠れなくなったりした方を診察する機会が多い。その背後には、たいてい人間関係をめぐる悩みが潜んでいる。 これまで7000人以上を診察してきたが、最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみだ。 具体例を挙げると、根性論を持ち込んだり、過大なノルマを押しつけたりする上司、あるいは何にでもケチをつける人や他人のせいにする人、不和の種をまく人や陰で足を引っ張る人などである。 こういう人はどこにでもいる。そのせいで周囲に重苦しい雰囲気と沈滞ムードが漂い、不和やもめごとが絶えなくなる。結果的に、みな疲弊していき、心身に不調をきたす方も増える。 なかには、仕事を続けることが困難になるほど深刻な状態に追い込まれる方もいて、まず内科や婦人科などの身体疾患を対象にしている診療科を受診する。ところが、検査の結果とくに異常が見つからない場合が多く、「ストレスではないか」と言われて、われわれ精神科医に紹介される。じっくり話を聞くと、職場を腐らせる人の言動に悩まされていることが少なくない。 また、私は企業や金融機関などで定期的にメンタルヘルスの相談に乗っているのだが、そこでも職場を腐らせる人に関する苦情をしばしば聞かされる。もっとも、当の本人は自分自身の言動が周囲に及ぼす影響について自覚していない場合がほとんどで、面談の際も「悩んでいることはありません」「何も問題はありません」といった答えが返ってくることが多い。これでは、みな頭を抱えるはずだと妙に納得する。 長年にわたる臨床経験から痛感するのは、職場を腐らせる人が一人でもいると、その影響が職場全体に広がることである。腐ったミカンが箱に一つでも入っていると、他のミカンも腐っていくのと同じ現象だ。 その最大の原因として、精神分析で「攻撃者との同一視」と呼ばれるメカニズムが働くことが挙げられる。これは、自分の胸中に不安や恐怖、怒りや無力感などをかき立てた人物の攻撃を模倣して、屈辱的な体験を乗り越えようとする防衛メカニズムである。 このメカニズムは、さまざまな場面で働く。たとえば、子どもの頃に親から虐待を受け、「あんな親にはなりたくない」と思っていたのに、自分が親になると、自分が受けたのと同様の虐待をわが子に加える。学校でいじめられていた子どもが、自分より弱い相手に対して同様のいじめを繰り返す。こうして虐待やいじめが連鎖していく。