建設業の「2024年問題」のその後、働き方改革は進展した?明らかになった新事実
2024年問題の猶予期間が3月末で終了し、物流・運送・建設・医療業界でも、時間外労働の上限規制がされた。それから半年が経過した現在、これら業界の労働現場に変化はあったのか。本稿では、特に建設業界に着目。シニア転職支援に取り組む筆者が収集した、シニア向け建設業求人のデータをもとに「建設業界の2024年問題」の現状について解説する。 【詳細な図や写真】2024年問題で事業やサービスの停止や遅延などの影響が懸念(Photo/Shutterstock.com)
物流・建設業界で残業上限規制が開始
1ページ目を1分でまとめた動画 まずは、2024年問題についておさらいしよう。 「2024年問題」とは、物流・運送・建設・医療といった業界において、時間外労働の上限規制が適用されることを指す。しかし、これらの業界だけが規制の対象外だったわけではない。 実際、その他の業界では、すでに2019年4月に施行された働き方改革関連法により、月45時間、年間360時間、36協定で特別条項を定めた場合は年6カ月で年間720時間という時間外労働の上限が設けられている。物流・運送・建設・医療の業界には、他業界よりも猶予が与えられていただけなのだ。 その猶予が2024年3月末で切れ、建設業では災害時の復旧・復興を除いて、他の業界と同じ規制が適用される。また、物流・運送業のドライバーには年間最大960時間といった時間外労働の上限規制が開始された。 しかし、規制前のこれら業界・職種では、上限以上の時間外労働が常態化していたため、この状況下で厳しい規制が行われた場合、事業・サービスの停止や遅延、従業員の大量雇用による赤字、さらには廃業・倒産が発生する懸念があった。 物流・運送業では原材料や製品の輸送停止、輸送コストの上昇が製造業や小売業へ影響を与える可能性がある。建設業では工事の遅延や長期化が発注者に与える影響も避けられない。このように、規制の影響は業界内にとどまらない。本来は、業界内の働き手を守り、より良い働き方へと変えていくための規制であるが、さまざまな声が上がっている。