存亡をかけた“小メーカー”の生き残り戦略 ボルボの新世代ディーゼル
「輸入車を売ってる会社ってボロ儲けなんでしょ?」と思っている人は結構いるようだ。高額商品を売っているんだから儲かっているんだろうと思うのだろうが、とんでもない。クルマが高いか安いかは、会社が儲かっているかどうかとは直接関係ない。しかもいわゆる「ガイシャ」の場合、日本法人(インポーター)は本国とは全然規模が違う。ほとんどのインポーターはボロ儲けには程遠い。日本のトヨタ本社と、例えばマレーシア法人の規模を想像して貰えばイメージが湧くだろう。 【関連記事】ボルボV40に見る最も先進的な“ぶつからないクルマ” 「日本はマレーシアと経済規模が違う」という意見も出そうだが、先進国で日本くらい輸入車が売れていない国はない。輸入車のシェアが10%を超えたことはほぼないのだ。 ところが、クルマという商品は売れていなくても販売・サービス拠点を整備しなくてはならないし、部品だって在庫を持たなくてはいけない。販売管理費用はどうしてもかかる。だからインポーターは儲からない。
「ガイシャ」が売れない日本
では国産車と比べて、日本国内の販売台数はどのくらいなのか? ここ数年、日本で一番売れているクルマはアクア、プリウス、フィットあたりだ。月によって波があるとは言え、おおむね1.5万台から2万台くらいは売れる。デビュー直後だとか、消費税前の特需とかがあると瞬間的に3万台を越えたりすることもある。 だいたい月販5000台を超えるとタイミングによっては車名別ランキングのベスト10入りが狙える。それが日本のマーケットでクルマが売れる売れないのラインだと思っていい。自動車メーカーが月販目標台数を発表した時、このラインが頭に入っているとどの程度売れると見込んでいるかがわかる。
さて表をご覧いただきたい。輸入車で一番売れているフォルクスワーゲンが全モデル合計で年間6万2439台。12等分にした月あたりが約5200台。つまりフォルクスワーゲンは全モデルを合計すればベスト10に入れるギリギリのラインだ。 ちなみにその台数を今年6月の車名別ランキングに当てはめてみると、惜しくもヴィッツ、エスクァイヤに僅差で負けて13位になる。 日本での販売台数はベンツもほぼ同じ。BMWやアウディになると5000台は絶望的となる。もっともアウディはフォルクスワーゲン・グループなのでフォルクウスワーゲンと合算したら8000台が見えてくる。 輸入車ブランドのランキングなのに、日産、トヨタ、三菱がランクインしているのは、マーチやリーフ、ランクル70、ミラージュなどの海外生産逆輸入モデルの分だ。それだけでここにランクインしてしまうという輸入車の販売台数規模が理解できると思う。 アクア1台の販売台数に勝つためには、1位から5位のメーカーが全車種合計で勝負しないとならない。しかもその中には日産の輸入分が入っている状態だ。そのくらい輸入車は売れていない。これでインポーターが、儲かってウハウハになるはずがない。そういう壁と戦いながらどうやって一歩前進をするか考えているのが現状なのだ。