ソフトバンク「大戦力」ゆえ悩ましい移籍志願選手の殺到…他球団に最も多く選手を“輩出”
まさにバラ色のオフだ。 オリックスの吉田輝星(23)が昨28日に契約更改を行い、2100万円アップの年俸3700万円で一発サイン。 【写真】ソフトバンク髙橋純平が戦力外で「下半身事件」蒸し返され…中日選手が“とばっちり” 「ものすごく感謝しかない」 と満面の笑みを見せた。 吉田は2018年ドラフト1位で日本ハムに入団。先発としては芽が出ず、22年に主に中継ぎとして開花するも、不調にあえいだ昨季の出場は3試合止まり。オフに黒木優太とのトレードでオリックスに移籍すると、今季は50試合で4勝0敗、14ホールド、防御率3.32。キャリアハイの成績を残した。 吉田は会見で「環境が変わったことで成績が出せた」と話したように、近年は移籍をきっかけに素質が開花する選手が少なくない。 22年現役ドラフトでDeNAから中日に移籍した細川成也は、昨季から2年連続140試合以上に出場。今季は主に4、5番を打つなどクリーンナップを務め、打率.292、23本塁打、67打点の好成績だった。 他にも楽天→DeNAの森原康平は、押しも押されぬ守護神へと変貌。オリックス→中日の齋藤綱記も、勝利の方程式の一角に定着した。 近年、最も多く選手を他球団に“輩出”しているのがソフトバンクだろう。 22年現役ドラフトで阪神に移籍した大竹耕太郎は、2年連続2ケタ勝利を達成。21年オフに戦力外となった加治屋蓮も阪神に拾われ、中継ぎとして活躍中だ。23年1月、FAで加入した近藤の人的補償で日本ハムに移籍した田中正義は守護神の座を勝ち取った。昨年の現役ドラフトで日本ハムに移籍した水谷瞬は、交流戦で大ブレーク。ソフトバンク時代は一軍経験ゼロだったにも関わらず、今季は97試合で打率.287、9本塁打、39打点である。 ソフトバンクは今年のドラフトでも育成選手を13人指名した一方、仲田慶介や佐藤琢磨など戦力外になった選手は続々と移籍先が決まっている。保有選手は今季終了時点で12球団最多の120人(支配下70人、育成50人)。優秀な選手が出てくる確率は高いが、選手が多いがゆえの悩みも絶えない。 「それこそ水谷が顕著です。打撃の素質は十分でも、外野守備はお粗末。一軍にポジションが空いていれば我慢して起用もできたが、外野は柳田、近藤、周東がおり、入る隙がない。選手が多ければ多いほど、チーム事情で素質のある選手を諦めざるを得ない。しかも、22年オフは近藤、昨オフは山川を獲得するなど、補強に積極的なので余計に上が詰まってしまいがちです」(球団OB) 打点と本塁打で2年連続ウエスタン二冠王の砂川リチャードは70分の交渉の末、今年の契約更改を保留。「誰かのケガ待ちは嫌」と交渉の席で移籍志願を訴えるも、「戦力して見ているから、それはできない」と言われたと打ち明けた。 発言内容の是非はともかく、訴えを拒否されてやる気が失われたら、チームの士気に関わる。しかも、今のソフトバンクには移籍を志願する選手が多いという。 「移籍を志願する選手は昔からいましたよ。でも、その多くはダメ元で伝えるだけ伝えよう、というもの。昔のトレードは放出とか見限るというイメージが強く、球団の印象にも関わる問題でしたから。それが現在は風向きが変わり、現役ドラフトも導入された。移籍志願の選手が増えるのも無理はありませんよ」 とは前出のOBだ。 ◇ ◇ ◇ 毎年育成選手まで大量指名し、巨額の金を注ぎ込んで補強に邁進するソフトバンクだが、その分だけ選手をクビにしている。さる4日は支配下7人に戦力外を通告。その中の2人は今季育成枠から支配下に昇格したばかりの選手だった。すでにチーム内にはひずみが生じているという。いったい今、金満球団に何が起きているのか。 ●関連記事【もっと読む】…では、それらについて詳しく報じている。