よく食べ、よく眠る姿は満たされている証。パンダの“しあわせ”から始まる偉大なサイクル[FRaU]
食べて、遊んで、ぐっすり眠って。一見、自由でかわいいパンダだけれど、実は絶滅に瀕した動物たちを守り、失われた自然を取り戻すための大切な役割を果たしている。パンダから始まる大いなる生命のサイクルを解き明かそう。
パンダはよく食べ、よく眠る
もぐもぐ、コロコロ……パンダの“しあわせ”から始まる偉大なサイクル 朝10時。バックヤードの扉が開くと、「楓浜」が駆け出してきた。まんまるボディに反して、とっても木登りが得意なジャイアントパンダたち。楓浜もスルスルと器用に丸太の台をのぼり、見晴らしのいい場所に到着すると朝食タイム。両手で竹を握ってメリメリ、パキパキ、豪快に竹を嚙み砕く。
咀嚼音や息づかい、あくびまで聞こえるほどパンダを近くに感じられるこの施設は、希少動物繁殖センター〈パンダラブ〉。楓浜の隣の部屋では、4歳年上の「結浜」があっという間に朝ごはんをすませ、お気に入りの場所に陣取っていた。コロンと横になって、早くもお昼寝の構え。 「パンダたちがうろうろと歩き回っているのは、何かが物足りなくて探しているとき。しっかり食べて、ぐっすりと眠っている姿は満たされている証でもあるんです。パンダにとって、“食っちゃ寝”は一番“しあわせ”な状態なんですね!」と、ジャイアントパンダ繁殖プロジェクトで長年飼育に携わる熊川智子さん。
飼育スタッフはいろんな種類の竹を取りそろえているが、竹を採ったタイミングや季節によっても味わいが変わるらしく、もらった竹が好みじゃないと食べなかったり、じっと飼育スタッフを見つめて「ちがう」と訴えてくる。 「パンダごとに残した竹から好みを知って、次の竹選びに活かすんです」というから涙ぐましい努力だ。しかし、これもひとえに自然に近い環境でのびのびと育てるため。 元気なパンダたちに出会える施設は、もうひとつ。これまでたくさんの赤ちゃんが生まれ育った〈ブリーディングセンター〉だ。ここには「彩浜」とその母親「良浜」が暮らしている。