「新紙幣の対応」で数千万円の出費が…「パチンコ店の閉店ラッシュ」が止まらない理由を現役店長が解説
導入から約1ヵ月が経過した新紙幣。自動販売機や飲食店の券売機などでは対応が行われた。実際に手にしてみて、少しずつ新しい紙幣に慣れてきたという方も多いのではないだろうか。 【画像】パチンコが原因?ヤクルト電撃退団の畠山和洋コーチが本誌に語ったストレス解消法 そんななか、パチンコ店のなかには新紙幣の対応で数百万円~数千万円クラスの費用のやりくりに追われている店や、閉店の決断を下す店があるのだという。 なぜ、パチンコ店だけにそのようなことが起きているのだろうか。埼玉県にある「ウハ・ウハ会館」というパチンコ店の店長で、パチンコクエストというYouTubeチャンネルで動画を配信している「マスター」に話を聞いた(以下、発言はすべてマスター)。 「パチンコやパチスロは、台ごとにサンドというお金をいれる機械がついています。そのため、店にある台数分新紙幣に切り替える対応が必要で、私の店では1台あたり2万5000円ほどかかりました。店には300台ほどありますし、サンド以外にも精算機の改造で1台あたり30万円ほどかかっています。合計すると計700万円ほどになりますね」 マスターの店では、比較的サンドが新しいものだったため1台あたり2万5000円で済んだが、古い機械を利用していた場合1台あたり15万円以上かかることもあるのだという。その場合は4000万円以上の費用が必要になるのだとか。 「最近はスマートスロットやスマートパチンコといわれる、玉やメダルを使わない台の人気が高いです。なので、私の店舗でもそういった台をどんどん購入していきたいと考えていたのですが、今回の新紙幣への対応でかなり厳しくなりました。正直経営的にもかなり苦しいですね」 最近では、月に数十台新しい台が発売され、それを目当てにパチンコ店に向かう客も多い。そのため、新しい台を購入するペースが落ちてしまうことは客離れの原因にもなってしまう。 新しい台を購入しなければならない上に、新紙幣対応でかなり苦しい状況にあるパチンコ店。状況をさらに悪化させているのが、電気代の上昇なのだという。 「数年前までは、年間の電気代が800万円ほどだったんですが、’22年には1100万円になりました。パチンコ店は台の稼働やデータ管理などに電気を使っていて、節約できる場所が少ないので、大変なんです。 ニュースではサラリーマンの給料が上がっているとはいいますが、実際に店舗まで行かないといけないパチンコなどと比べて、オンラインでも遊べる競馬やボートレースなどにお金を使う人が増えているみたいです。お客さんが増えているという実感はありません。大手のパチンコ店さんなんかもかなり苦しい状況にあるんじゃないかと思いますね」 パチンコ店の特性上、客側がある程度勝てるような状況を作らなければ他の店に客を取られてしまう。しかし、このような状況が続いている今、そういった状況を作ることができず客離れが進んでしまい、閉店する店舗が増えているのだ。 駅の近くにパチンコ店があるという光景が当たり前でなくなる日が近づいているのかもしれない。
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