衝撃!「大手弁護士事務所のスパイ騒動」巡って弁護士会の混乱
スパイ行為の報酬は「1000万円」
アディーレはこのグレーゾーンに注目し、ベリーベストからS司法書士事務所への報酬支払の事実を掴もうとしていたとされる。東京弁護士会の綱紀委員会の議決によると、アディーレ内では、一連の工作は「特命業務」と位置付けられ、陸上自衛隊出身の経営幹部が「諜報活動の心得」まで伝授していたという。 2016年3月、ベリーベストにアディーレ出身の男性事務員A氏が入所する。A氏は「妻が育児ノイローゼ」とのことで、転勤の少ないベリーベストに入りたいと希望してきたという。だがA氏は遅刻、早退、欠勤を繰り返し、オフィスに来ても日がな一日、ネットサーフィンをしているというあり様だったという。そして同年8月に退職した。 その1か月後、A氏は突如、ベリーベストが「非弁提携」を行っているとして、勤務時に知り得た内部資料を用い、内部告発のような形で弁護士会に懲戒請求をかける。それと同時に、ベリーベストに対し、勤務中の「精神的苦痛」を理由とした200万円の損害賠償請求訴訟を起こしたという(後に請求棄却)。 昨年12月、弁護士会綱紀委員会は、A 氏はアディーレから1000万円の報酬を約束されてベリーベストに入ってきたと認定。そしてそれらの“スパイ行為”について、違法性を否定できないと判断し、さらに「懲戒委員会」に事案の処分内容について審査を求めた。 ところが懲戒委員会は一転、不正行為の「疑いはある」としたものの、騒動の関係者たちが事情聴取に応じないため、「事実を認定することができないと判断せざるを得ない」として、今年11月中旬に「懲戒しない」とする決定を下したのである。 アディーレに尋ねると、以下のように回答があった。 「ご指摘の東京弁護士会綱紀委員会の議決において認定された事実について、当法人は事実無根であるとして全面的に否認しております」とし、懲戒委員会の決定について「当法人の主張が認められたものと認識している」と述べている。