帯状疱疹に血尿、がん闘病中に次々と訪れる試練 日常生活は崩壊寸前、膀胱の全摘出手術を決断
がん治療に加えて帯状疱疹。まったく踏んだり蹴ったりである。 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスで発症する皮膚の病気。50歳代から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症するといわれている。免疫力の低下でウイルスが活性化し、カラダの左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い発疹が現れ、やがて水ぶくれが多数集まって帯状に展開していく。 その後、水ぶくれは弾けてかさぶたとなり、自然にはがれていく。一連の症状が治まるまでの期間は、個人差があるが約1カ月程度といったところだ。
これで完治ではない。この病気のいやらしいのはここからだ。次に患者を襲うのは帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる合併症で、この痛さに悩まされる人が多い。痛みと言ってもさまざまで、「焼けるような」とか「締め付けるような」持続性の痛みから、「ズキンズキンとうずくような」痛み、さらには軽い接触だけでも痛む「アロディニア」といった痛みが混在している。痛みがひどいと睡眠を妨げ、日常生活に大きな支障をきたすことになる。
■長期戦を覚悟しなければ… 筆者もこのPHNに悩まされ続けている。毎朝、起きると右手から背中の上部にかけピリッとした痛みが走り、ズキズキとした痛みが継続する。つらくて我慢できないというほどではないが、気持ちが悪くてやっていることに集中できない。1日中ずっとというわけではないが、何度か不快な思いをすることの繰り返しである。 12月下旬になっても症状は治まらない。周囲の60代の知人数人が帯状疱疹経験者で、彼らの話を聞くと「痛みがおさまるまで6カ月かかった」「僕は1年かかったね」とさまざま。いずれも長期戦だったようだ。
治療法は原因となっているウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、痛みに対する痛み止めが中心となる。PHNに対しては鎮痛作用のある三環系抗うつ薬などが用いられるほか、神経ブロック注射やレーザー治療もある。 帯状疱疹の病状レポートが続いたので、がん闘病に話題を戻す。 暦は10月、秋本番を迎えていた。快適なシーズンになったにもかかわらず、体調的には帯状疱疹に続き新たな難題が降りかかってきていた。そもそものがんの原発巣である膀胱が再び活動を活発化させてきたのである。膀胱がんは発見時の腫瘍の大きさが小さく、ステージがⅠやⅡといったレベルであれば、腫瘍を切除したり膀胱を全摘出したりする。