「検証・安倍政権」<アベノミクス編>GDPや雇用はアップ、実質賃金が下がった背景
14日に投開票される総選挙も終盤戦にさしかかってきました。選挙の争点を「アベノミクスの是非」として、安倍晋三首相みずから「アベノミクス解散」と銘打って解散したこともあり、経済問題をテーマとした報道や議論が多く見受けられます。 アベノミクスは「三本の矢」になぞらえた三つの経済政策(金融政策、財政政策、成長戦略)を総称したものです。これらの経済政策は、どれも賛否がわかれる議論があり、一概に正しい、正しくないと判断するものではありません。それぞれの政策を見比べて、どの政策が一番マシかという判断が投票日までにできるといいでしょう。
●GDP
さて、経済政策の効果を重視するのであれば、比較対象として「前政権より国民の富が増えたのか」ということに集約されます。国民の富イコールGDPであれば、11月17日に発表された7~9月期の実質GDP速報値は、対前期比成長率-0.4%(年率換算-1.6%)という衝撃的な数字でした。では、民主党政権からどうなったかということを金額ベースで比べると次のようになります。 野田政権末期の2012年10-12月期のGDP実額(実質季節調整系列)は514兆1912億円でした。12月26日に安倍政権が発足されると、この四半期のGDPを底にして、2013年1-3月は521兆3016億円と増加。以後、2013年中はプラス成長が続き、消費税増税前の駆け込み需要があった2014年1-3月期には535兆344億円を記録しました。 以後、増税ショックでGDPの低下が進んだという流れです。 前政権である野田内閣(2011年10-12月期~2012年10-12月期)のGDP実額の平均は517兆2942億円。安倍内閣(2013年1-3月期~2012年7-9月期)のGDP実額の平均は522兆8301億円でした。 つまり、GDPは伸びていたのです。それなのに、実感がないという意見が多いが実状です。その指標として議論されるのが「実質賃金の低下」です。