「LINE禁止令」の現場 親の思いと子どもへの効果は
愛知県刈谷市の全小中学校が、「夜9時以降の携帯、スマホ禁止」を各家庭に求めると決めて全国的に話題となった。主に「LINE」をめぐるトラブル対策として4月から始められる試みだが、実は愛知県ではすでに2013年度中から同様の取り組みに踏み切っていた学校がある。保護者の思いと子どもへの効果は今のところどうなのだろうか。 刈谷市では、市教委や学校、警察などでつくる「児童生徒愛護会」の主導で、携帯やスマホについて全21校の保護者に「午後9時以降は子どもから預かる」「不要に持たせない」などと呼び掛けることを決めた。 3月中旬にこれが報じられると、ネットを中心に賛否両論が噴出。市生涯学習課によると、電話でも50件近くの問い合わせや意見が寄せられた。ただ、そのほとんどがメディアからの取材依頼で、保護者や子ども本人からの異論はなし。学校関係者からも、茨城県の学校から「自分たちもおこなってみたい」と相談があった程度。周辺市町村を含む他地域での取り組みは同市でも把握していないという。 ■刈谷より先に踏み切った学校も しかし、刈谷市から決して遠くない愛知県内の中学校で、今年1月から同様の取り組みが始まっていることが分かった。学校名は伏せるが、こちらはPTAが主導し、「夜9時以降のLINEの使用を一斉に禁止とします」と、刈谷よりも、はっきり、きっぱりとした呼び掛けだ。 理由は子どもの睡眠時間確保やいじめ防止、犯罪から子どもを守るため。ただし、あくまで強制力も罰則もない自主規制で、LINEのメリットとデメリット、その便利さと裏腹の危険性などを各家庭で話し合うきっかけにしてほしいという思いが強調されている。 「最初、こんなルールをPTAで出すなんてやり過ぎでは、と思いました」と話すのは、同中学区で2人の子どもを持つ母親だ。 本来は家庭で話し合うべきことではないかと疑問もわいたが、まず親が勉強して、考えるべきだと説明を受けるうち、「誰よりもPTAの危機意識が一番強い」と感じ、理解した。 「みんながやっているのに自分だけやらないというのは大きな勇気のいること。みんなで一斉にルールを決めて利用を控えられるのなら、こういうやり方もありなのかな、と」 この家庭では昨年末、中3の娘にスマホを、小6の息子にキッズ携帯を持たせたばかり。その際、周囲で話題となっていた「スマホ18の約束」を基に、親子でルールを決めた。