「LINE禁止令」の現場 親の思いと子どもへの効果は
■「ルールあってもする子はする」 「18の約束」は、アメリカの母親が13歳の息子にクリスマスプレゼントとしてiPhoneを贈るときに作ったというルール。日本語訳もさまざまに出回っていて、「学校に持っていってはいけません」「他人を傷つけるような会話には関わらない」などに加え、「学校がある日は夜7時30分から、毎週末は夜9時に親のどちらかに電話を預けなさい」という文言がある。 愛知県の母親はさすがに午後7時半は早いと感じ、時間ははっきり制限せず、「常識的に電話をかけられない時間にはメールなども送らない」という家庭独自のルールを示した。娘も納得したが、これに後からPTAの「(平日も)夜9時以降禁止」が加わることになった。 「娘はPTAのルール化の前も後も、夜9時以降は友達からLINEのメッセージやメールが来てもチェックするだけ。結局、ルールを作っても、する子はする。わが家では勉強に集中できたという効果はありますが、それ以上は期待できないのが現状かと思います」と話す。 ■家庭それぞれのルールと悩み 同じく中3の娘を持つ別の母親も、最初は戸惑いを覚えた。 「3年生は夜10時まで塾という子が多く、9時という基準はどうなのかと。親からの押し付けでは結局、気持ちが入らず、勉強にも集中できません。子どもの自主性に任せた方がよいのではと思いました」 この家庭では、習いごとの関係で娘が小3のときからキッズ携帯を持たせ、中学からはスマホにしたが、夜11時以降は使わないルールにしていた。PTAのルールが出たときはちょうど受験期に入っていたこともあり、娘の方から「受験までスマホを預かって」と言い出していたという。 しかし受験が終わり、中学を卒業した今はLINEを再開。友達と高校入学に向けた情報交換を活発にし、早くも高校ごとにLINEの「グループ」ができているという。 「周りのお友達も今はパラダイスという感じで無制限のようです。ただ、高校の入学説明会でもLINEの話があって、深刻な問題になっていることを感じます。一律の禁止は、お子さんによってはお友達への言い訳になるし、解放されると感じる子もいるかもしれません。これも家庭ごとに事情が違うのでしょう。うちの娘に対しても、むりやりだと逆ギレしてしまうのではという時期がありました。LINEに限らず価値観が多様なので、何が正解か本当に分かりません」 「禁止」ですべてが解決するわけでないことは誰もが分かっている。しかし、何もしなくてよいのかと焦る親と学校現場があることも事実。その試行錯誤は続きそうだ。 (関口威人/Newzdrive)