「2024年問題」に向き合う医療業界の働き方改革とデジタル活用
大規模病院におけるソリューションの導入事例 デジタル化および働き方改革を推進している医療機関の例を紹介しましょう。 前回の記事でも触れた前橋赤十字病院では、「iPhone」や院内Wi-Fi、顔認証デバイスを用いて、医師の位置情報・院内各エリアにおける滞在時間・入退室情報を収集しました。iPhoneはデータの取得・提供に同意済みの集中治療科・救急科の医師に、あらかじめ配布したものです。 これによって、医師の勤務時間とその内訳、勤務動線を可視化しました。シフト表と勤務実態を医師の記憶に頼ることなく照らし合わせることができるようになったほか、会議などの非医療業務と医療業務を区別できるようになったことで、労働環境の改善すべきポイントを発見しやすくなったといいます。 現在は医療業界の変革期、変化に合わせた「投資」が必要 このように先進的な医療機関では、既にテクノロジーを活用した働き方改革が進んでいます。しかし、地方では働き方改革どころか、医療機関の統合や閉院は後を絶ちません。必要な医療を患者に提供し続けるためにも、医療機関における働き方改革は喫緊の課題といえます。 しかし、働き方改革推進のためにソリューションを導入することや、デジタル化に必要なセキュリティ対策を強化することに対して、依然として「コスト」と捉える医療機関が多いことも事実です。ソリューション導入は、今後医療機関が存続するための「投資」と捉えることが働き方改革につながる第一歩かもしれません。 医療従事者に適した働き方は、従来と変わりました。加えて、世代を問わず社会のニーズや医療機関に対する期待値も変わるなど、医療機関を取り巻く環境は大きく変化しています。現在は、医療業界における変革期が到来しているといえるでしょう。医療従事者がより質の高い医療を提供する上で、本記事がお役に立てば幸いです。 平岡龍弘 シスコシステムズ合同会社 セキュリティ事業 XDRプロダクトセールスリード 大手SIerでネットワークセキュリティ領域のアーキテクトとして従事した後、2022年シスコへ入社。入社以来一貫してNDR/XDR分野の営業担当として日本の市場をリード。近年では特に医療機関に向けたセキュリティ対策を支援し、営業活動だけでなく、イベントや研究会を通じたセキュリティ対策の啓蒙活動に取り組む。 清水雅史 シスコシステムズ合同会社 セキュリティ事業 公共・広域営業本部長 官公庁、自治体、文教、医療、社会インフラ(電力、ガス、鉄道、道路)などの公共部門の顧客や東日本・西日本地域におけるセキュリティ営業活動全般を統括。2023年にシスコに入社し、現職に就任。以前はTrellix(旧FireEye)で、国内外の大手企業ならびに公共機関に対し、セキュリティ改善提案を行う技術部を統括。それ以前は日本IBMにて、金融を中心とした大手企業の基幹システム重大障害を、迅速に修復する活動を実施。 長柄洋一朗 シスコシステムズ合同会社 デジタルガバメント営業本部 シニアアカウントマネージャー IP-PBX系のベンチャー企業を経て、2014年シスコ入社。2021年まで医療専属のハイタッチ営業に従事。医療情報システムの刷新を数多く支援し、大規模病院グループのインフラ刷新の調達支援業務を受託するなどの実績を重ねた。以来、厚生労働省を主軸に、医療を含む社会保障の各種領域で大規模刷新を支援。2022年より現職。