リザルトとは、時に“残酷な現実”を突きつけるもの~スーパーフォーミュラ第5戦~
第4戦富士では日曜日のフリープラクティスでペース良く走行し、決勝に向けて密かに手応えを感じていたのだが、決勝前のグリッドウォーク中にオルタネーターのトラブルが判明し、フォーメーションラップ直前になってマシンがピットへ戻された。レース後「今回は自信があったのになぁ……」と久しぶりに悔しい表情をみせていたのが印象的だった。
本人の「結果を出したい」「勝ちたい」という気持ちとは裏腹に、それが叶わない日々が続く。それだけに今回のもてぎラウンドにかける想いは、おそらく人一倍強かったことだろう。予選・決勝ともに太田の走りはいつも以上に鬼気迫るものがあり、チームラジオのやり取りを聞いても、何がなんでも勝利を掴み取りにいくという気迫が感じられた。
だからこそ、掴みかけていた“優勝”の2文字を失ったというのは、本人にとって大きすぎる出来事だった。メディアミックスゾーンでは、どこか平静さを保とうとしているように感じられたが、やはり本人の中では抑えきれない悔しさがあったのは想像に難くない。
「(今回は)ラスト1周で止まるって…ある意味で情けないなと。やっぱり『運も実力』と言うじゃないですか。運を味方につけられなかったことが悔しいし、情けないんです」と、どこか自暴自棄になっているようにも感じられた。
前述でも触れたが、今年の第3戦SUGOでも6号車に同じようなスロットルトラブルが発生し、チームは再発防止のために試行錯誤を重ねてきた。その頑張りを間近で見てきたからこそ、太田はチームスタッフを責めることは一切しなかった。
「チーフメカが目に涙を浮かべながら謝ってきてくれて…僕も『もっと頑張ろう』という気持ちになりました。今回はチームメイトが勝って、チームとしては良かったかもしれません。だけど6号車メンバーも『6号車で勝ちたいという想いがあります。SUGOでトラブルが出た後も、チームはすごく対策をしてくれていました。誰が悪いというのは全くない。一番悪いのは、運を持っていなかった自分なのかなと思います」