リザルトとは、時に“残酷な現実”を突きつけるもの~スーパーフォーミュラ第5戦~
結果こそ残らなかったが、太田が魅せた熱い走りが、多くの人々の心に届いていたことは間違いない。牧野もコメントしていた通り、今回の彼は優勝に値する走りをみせていた。レース後もSNS上には太田の健闘を讃える声が多く投稿されていたように感じる。
プラットホーム前で泣き崩れる太田のもとには、真っ先に迎えに行った佐藤エグゼクティブアドバイザーのほかに、加藤寛規SFドライビングアドバイザー、PONOS NAKAJIMA RACINGの伊沢拓也監督が声をかけにきた。
「レース後いろんな人が僕のところに励ましにきてくれて……チェッカーは受けられなかったけど、ラスト1周まで全力で走ったことは意味があったことだなと思えました」と太田。そこでかけられた言葉については詳しく話してくれなかったものの、多少なりとも報われた時間になったことは間違いない。
しかし、現実とは残酷なもので、今回の正式結果(リザルト)では優勝したのは牧野。太田はトップから2周遅れの19位となっている。
今はレース内容を覚えている人が圧倒的に多いため、太田への賞賛の声が大きい印象だが…これが5年、10年と時間が経過すると、結果という記録が先行されることになり『このレースの勝者は牧野だった』として語られることになる。
リザルトとは、時に“残酷な現実”を突きつけるもの。こういうレースに触れるたび、つくづくそう思う。
だからこそ、優勝をかけてチームメイトの猛追を振り切り続けた太田の戦いぶりが、今回のレースを観戦した方々の記憶に残り続けてくれれば幸いだ。
いずれにしても、思わぬ結末に「このレースで勝ったのは誰なのか?」と一瞬感じてしまうくらい、レース直後のサーキットは独特な雰囲気だった。その“モヤモヤした気持ち”は、当事者2人の心にも残っていることだろう。
その一部は、時間が経って自然に消えるものもあるかもしれないが…結局はコース上で白黒ハッキリさせないと、2人の心が晴れることはないはず。