新コリジョン導入で野球は変わるか?
その適用を巡って非難轟々だったコリジョンルールが改正され、今日22日のプロ野球6試合から、さっそくその新コリジョンが導入されることになった。NPB側は、当初、後半戦からの導入を計画していたが、一部球団の選手会の反対などがあって、12球団の同意を得るために導入が遅れていた。若干の時差はあったが、ファンや現場の不満を吸い取って迅速な対応をしたNPBの決断は評価できるだろう。 新基準で運用される新しいコリジョンルールの要旨は、以下の4点。 1.走者が明らかに守備側選手に向かい発生した衝突や守備側が明らかに走者の走路を妨害した場合に適用。 2.守備側に立つ位置は、基本的に本塁の前。 3.送球がそれ、走路に入らなくては守備ができなかった場合は適用しない。 4.衝突がなくても立つ位置が不適切なら警告を与える場合がある。 つまり明らかな衝突が起きた場合にのみコリジョンが適用され、キャッチャーへの返球がそれたため、やむなく走路に入ったり、ベースを跨ぐ形になった場合のプレーにはコリジョンが適用されないのだ。 新コリジョンにあてはめれば、ルール改正の発端となった5月10日の阪神ー巨人戦で、アウトの判定がコリジョンの適用でセーフに覆ったケースはアウトのままだし、6月14日の広島ー西武で、2-2で迎えた9回2死一、二塁からのホームでのクロスプレーがアウトからセーフに覆って広島のサヨナラ勝利となったケースもコリジョンが適用されないことになる。ここまで、このような適用ケースは4例だけだったが、新コリジョンの適用で、果たして野球は変わるのだろうか? そして、混乱なく導入されるのだろうか。 「何も変わらないでしょう」と、見ているのが、元千葉ロッテで評論家の里崎智也氏だ。 「要するにコリジョンを適用するかどうかのリプレー検証時の審判の判断が変わるだけのこと。キャッチャーもボールがそれない限り走路には立たないだろうし、当然、ブロックもしない。走者もコリジョンルールにそったスライディングを仕掛けてくるだろうから、今年から各球団が、コリジョンルールに沿う形で採用した走塁、野球の形自体は何も変わらないと思う。 セーフティスクイズも内野ゴロで積極的にゴーするような作戦も、同じように使われると思う。返球がそれたボールに対して動いたキャッチャーのプレーをどう判断していくのかが、注目になるのだろうが、新基準も、単なる文章で発令されただけなので、審判の判断任せの曖昧なものであることには変わりがないように思える。 そもそも、コリジョンルールの適用に関して、メジャーでは、どういう事例がおきて、どう適用の仕方が変化してきたのか?などを、直接メジャーの審判の責任者などからヒアリングしておけば、こういう問題も避けられたのでは。各球団に対する事例の説明も含めて、準備不足が生んだ問題だったと思うし、新基準の採用についての説明も十分ではないだろう」