鉄道の往復割引が廃止!次々消える「紙のきっぷ」節約術、ネット割引はあるけどややこしすぎる…
● みどりの窓口で「この割引が使えますよ」 さらに24年3月には「乗継割引」も廃止された。これは、新幹線から在来線特急に乗り継いだ場合に特急料金が半額になるというもの。先日、東京から京都へ新幹線、そのあと乗り換えで舞鶴に向かう用事があり「ひょっとして乗継割引が使えるのでは?」と思ったのもつかの間、廃止されていたことを思い出してがっくりした。 こちらも「利用するお客様が減少した」や「ネット予約のニーズが増え、そちらでお得な商品を提供していく方向」が廃止の理由になっている。 確かに、「往復割引」や「乗継割引」が利用者の間に浸透していたかと言えばそうではなく、知らなかった人も多いだろう。鉄道マニアでもなければ、JRの細かい割引制度に精通しているはずもない。しかし、この廃止には別の理由も潜んでいるように思えてきた。 筆者は節約好きとはいえ、鉄道マニアではない。しかし、往復割引や乗継割引は知っていた。なぜかといえば、みどりの窓口できっぷを買う際に、応対してくれたJR職員の方から「この経路で行くなら、この割引が使えますよ。だから、こういう買い方をした方が得ですよ」と親切に教えてもらったからだ。 窓口職員は当然ながらプロの知識を持っていて、こちらが割引に気づいていない時も臨機応変に対応してくれたものだ。ネット予約ではこうはいかない。自分でお得なきっぷを調べたり、どっちが安いか比較したり、あくまで自助努力でこなすしかない。割引制度を知らない人はネット弱者と呼ばれ、正規料金で買ったとしても自己責任だ。 もし、利用者が自分でネット予約をしてくれるのが通常になれば、窓口職員に複雑な割引知識は不要になる。割引や乗り換え経路に詳しい職員を配置しなくてもいい。社員教育も今よりシンプルになっていくのでは――と思うのは意地が悪すぎるだろうか。
人件費が上昇する中、そうしたコストをカットしてみどりの窓口を減らしていこうというのは当然の判断だろう。使う人が少ない割引だから廃止しますとJR側は言うが、そもそも教えてくれる人がいなくなるのだ。裏ワザ的な各種割引が無くなっていけば、さらにネット予約に移行しやすくなる。 なお、みどりの窓口の代替えとして、オペレーターと通話しながらきっぷを購入できる「みどりの券売機プラス」も登場した。先日これを利用している人に遭遇したが、通話しながらの操作と購入はやはり時間がかかる。そもそも買い方がよくわからないから職員に相談したいのに、「ネット予約が便利です」ではかみ合わないだろう。 ● 各種割引きっぷはネットにあり もちろん、ネット予約なら各種割引が利用できる。JR東日本の「えきねっと」では割引きっぷ「トクだ値」(新幹線eチケット)が買え、「トクだ値14」は14日前の申し込みでおおむね30%の割引だ(列車や区間などの限定あり)。同様に特急列車用の割引もある。 JR東海・西日本・九州のエクスプレス予約(EX)は通年で会員価格が適用になる(年会費が必要)。また、新幹線がオトクに乗れる「早得」や「eきっぷ」なども利用できる。 さらに、ポイントプログラムにも力を入れ始めた。JR西日本のWESTERポイントは、ポイントを使うと、山陽新幹線や北陸新幹線、特急列車が通常料金の半額相当で乗車できる(席数限定)。さらに、ネット予約を利用するとポイントがたまり、それをまたきっぷの購入などで使える(ポイント付与には事前の手続きが必要)。まさにネットを使えば使うほど、どんどんオトクに列車に乗れるわけだ。 JR東日本は、今年ネットバンクサービス「JRE BANK」をスタート。開業当初は受付制限がかかるほどの人気となった。こちらも、取引内容に応じてもらえる片道運賃4割引きの割引券や、2000ポイントの割引クーポンなどの特典が話題を呼んだ。 いずれも、ネット空間で完結できる利用者には大いに恩恵があるだろう。逆にいうなら、アナログベースで節約しようとしても難しい時代ということだ。