鉄道の往復割引が廃止!次々消える「紙のきっぷ」節約術、ネット割引はあるけどややこしすぎる…
JRグループが、往復乗車券の発売終了を発表した。鉄道を利用する人たちにとって長年親しまれてきた節約ワザが、将来使えなくなるとういことだ。他にも「紙きっぷ時代の節約法」は、毎年のように消えている。代わりに出てきているのがネット予約での各種割引。今後ますますアナログ民は、節約しにくくなるのだろうか。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子) ● 回数券が消え、乗継割引も消え… 反対の声もある中、2024年12月2日から紙の保険証の発行が終了した。今後はマイナ保険証に一本化、保険情報はマイナポータルなどデジタルで管理されることになる。 しかし、最も医療のお世話になる頻度が高いのは、デジタルネイティブ世代ではなく高齢者だ。いわばメインユーザーである。その層が使いにくい制度を進めていくとなると、その過程で軋みが出ることは避けられないだろう。 同じ感覚を抱いた出来事がある。奇しくも同日の12月2日に、JRグループが「往復乗車券及び連続乗車券の発売終了」を発表した。 これには驚いた。往復割引は、長年親しまれてきた鉄道節約ワザだからだ。片道601キロ以上の距離を往復きっぷ(紙)で買うと、往路・復路の運賃がそれぞれ1割引になるというもの。そのため、東京~新神戸の用事なら、その先の西明石まで往復できっぷを買ったほうが逆転して安くなるとのネタは、出張族によく知られた裏ワザだった。しかし、それが使えるのも26年3月までになる。 JR曰く、交通系ICカード等の全国的な普及やインターネット予約の利用が増加し、「往復乗車券」及び「連続乗車券」の発売枚数が減少しているのが理由だという。しかし、これには異を唱えたい。 近年は紙の割引きっぷが気軽に買える「みどりの窓口」をどんどん閉めているのだから、販売が減っていくのは当然ではないのか。往復割引だけではない、実は「紙きっぷの時代の節約法」は、毎年のように消えているのだ。 新幹線の回数券もその一つ。6枚つづりでの販売だがバラでも使えたので、長らく金券ショップの売れ筋ナンバーワン商品の座を占めていた。 筆者も東海道新幹線の利用時にずいぶんお世話になったものだ。新大阪で在来線に乗り換え、そのまま大阪、そして環状線の駅まで運賃の上乗せなく移動できたので、新幹線だけのEX予約よりも便利だったのだ。 しかし、EX予約に駆逐される形で、指定席用回数券は22年3月末に販売終了した。なお、新幹線自由席用回数券も24年12月22日に終了する。