ハワイの生態系は輸入品?大阪・咲くやこの花館で文化展
「適応放散の王者」に想定外の強敵登場
会場では野生種から外来種まで、約40種類の植物を展示。本当のハワイを象徴する野生種植物の代表格がギンケンソウだ。「適応放散の王者」と呼ばれ、アメリカ西海岸からハワイ諸島に進出したのち、低地から標高3千メートルの高地までに生息地を拡大した。 「生息する環境によって原型を留めないほど姿を変えて生き残ってきた。高山植物になった仲間は、銀色の毛を生やして日光を反射させて、強い日差しから身を守っている」。ハワイに高山植物がいるのも意外なニュースだが、このしたたかな適応放散の王者が、絶滅の危機に直面しているというから、もっと驚く。王者の前に現れた敵は植物ではない。 「アルゼンチンアリという手強いアリの集団がハワイ諸島に上陸。ギンケンソウの花粉を運んでくれるハチの幼虫を大量に食べるため、ギンケンソウの繁殖が厳しくなっています」(久山館長) ギンケンソウは絶滅危惧種に指定されている。国内でギンケンソウを栽培展示しているのは、咲くやこの花館だけだ。
自然との向き合い方を考えるヒントに
中進国の経済発展などに伴い、豊かな大衆が急増する中、世界的規模で観光市場が拡大している。 久山館長は「観光振興と自然保全のバランスをいかにしてとるか、悩ましい問題だ。ハワイだけではなく、日本でも課題となっている」と指摘。「自然と向き合うヒントを、ハワイの植物たちとふれあうことで見つけてほしい」と呼びかける。 「ハワイ・花と文化展」は今月28日まで。午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)、月曜休館(月曜が休日の場合、翌日休館)。入館料大人500円、中学生以下無料。詳しくは咲くやこの花館の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)