米国株の世界における優位性は来年も継続へ-JPモルガンが分析
(ブルームバーグ): 地政学や貿易政策面でのリスクが後退しない限り、米国株の他地域の株式に対する優位性は衰えそうにないと、JPモルガン・チェースのストラテジストらはみている。
米国株は今年、テクノロジー株と人工知能(AI)の熱狂に後押しされる形で国際株に対するアウトパフォームを継続。米経済は底堅さを維持し、インフレが鈍化する中で米連邦公開市場委員会(FOMC)は利下げサイクルに着手している。
ミスラフ・マテイカ氏率いるストラテジストのチームは、27日に発表したリポートで「現在見られる地域による市場パフォーマンスの二極化は今後も続きそうだ」と指摘。「国際市場のマルチプルは厳しいようには見受けられず、伸長した状態が続いているのは米国の方だ。だが相対的なスプレッドはまだしばらく高止まりする可能性がある」と分析した。
S&P500種株価指数は年初から26%上昇し、繰り返し最高値を更新。一方でMSCIワールド指数(米国除く)のリターンは3.5%にとどまる。バリュエーションギャップも拡大しており、予想株価収益率(PER)で見ると米国株は現在、国際株に対し過去最高となる60%のプレミアムで取引されている。
米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利を受け、米資産を選好する動きが一段と強まっている。同氏の政策が世界的な貿易摩擦を引き起こすと、トレーダーは予想している。トランプ次期米大統領は、既にメキシコ、カナダ、中国からの輸入品に関税を課す方針を表明しており、次は欧州が標的となる可能性もある。
米国株の極端なポジショニング、また国際株に対するバリュエーションとパフォーマンスのギャップから、収れんの可能性もあるとJPモルガンのストラテジストは指摘。ただその上で、「変更を行う前に、まず貿易と地政学面の状況について一段の明瞭さを得る必要があると、われわれは引き続き考えている」と記した。
原題:JPMorgan Sees US Equities Extending Global Dominance in 2025 (1)(抜粋)
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Michael Msika