検察のエースが部下の女性に…「泊っていけ」と言われた編集者が体感した性暴力の構造
もし、これで泊まっていたら「同意」だろうか
当然ながらこの出来事は上司にも編集長にも報告して、以降彼と接触することは一度もありませんでした。 しかし、もしこれで私が泊まっていたら、そこでなにかがあったら。どのように「同意はなかった」と説明できたのでしょうか。むしろ「仕事が欲しい新人が枕営業をした」と言われることすらあるのではないでしょうか。また、幸い筆者の場合は上司が寄り添ってくれ、その後A氏と接触することはありませんでした。しかしもし、相手がすぐ近くにいるパワーが上の人だったら、果たして安心して仕事をすることができるでしょうか。 もちろん、上司と部下であっても、パワーバランスがあっても、恋愛関係になることもあるでしょう。 恋のドキドキハラハラをすべて否定するつもりはありません。 しかし、「絶対的なパワーバランス」をちらつかせた関係性は、「対等」でしょうか。 そこにNOと言える環境は存在するのでしょうか。ただでさえNOと言えないパワーバランスの中に、大量のお酒による判断力や抵抗力の低下の中、そこで性交したら「同意があった」ということなのでしょうか。 筆者はこの体験を、以前にも記事にしたことがありました。教師が自分の生徒に対して性暴力を起こし、それが「両想いだった」と語った事件のときのことでした。そしてそれを読んでいたある女性が、今回の検事の方の会見を受け、ずっと語れずにいた体験を共有してくれました。後編「泥酔した女性と「性的同意」はできるのか。職場で起きた地獄の体験」にてその方の心の叫びをお伝えします。 文・FRaUweb 新町真弓
FRaU編集部