2万円分ふるさと納税で寄附をしました。これで2万円分税金が安くなるんですよね?【FPが回答】
ふるさと納税をしてみたいけど、ルールがよく分からず不安……そんな人もいるかもしれません。今回は、編集部が設定した質問に、ファイナンシャルプランナーの川手康義が回答・解説します。 【TOP5】返礼品ジャンルの人気ランキング、「米・雑穀」を抑えた1位は? (今回のケース) 2万円分ふるさと納税で寄附をしました。これで2万円分税金が安くなるんですよね? (回答) ふるさと納税の寄附金額が全額控除されるわけではなく、自己負担額2000円を差し引いた残りが所得税や住民税から控除されます。 どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
◆途中で退職、ふるさと納税……お得な場合をチェック!
ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄附をする制度で、寄附した金額から自己負担額2000円を引いた額が、その年の所得税や翌年の住民税から控除されます。つまり、寄附金額の全額が控除されるわけではなく、自己負担額が最低2000円かかります。2万円寄附したからといって、2万円分税金が安くなるわけではないのです。 加えて、ふるさと納税で受けられる控除額には、収入や家族構成に応じた上限があります。上限を超える寄附を行うことも可能ですが、上限を超えた額については控除対象とならず自己負担になるので注意が必要です。なお上限額は総務省のシミュレーションツールなどで簡単に調べることができます。また、居住している自治体にふるさと納税を行っても、返礼品は受け取れませんので、その点も注意しましょう。 ふるさと納税で控除を受けるには、基本的には確定申告が必要ですが、給与所得者で寄附先が5自治体以内であるなど一定条件を満たす方は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告の必要はありません。
◆2万円寄附した場合、いくら税金が安くなるのか
ふるさと納税をした場合の控除額は、基本的に以下の計算式での金額となります。 「控除額=寄附金額-2000円(自己負担額)」 つまり2万円の寄附をした場合、1万8000円が本年の所得税および翌年6月以降の住民税から控除されます。住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があり、所得税と住民税の控除額の内訳は以下で計算された額です。 「所得税控除:(ふるさと納税額-2000円)×所得税の税率 住民税控除(基本分):(ふるさと納税額-2000円)×10% 住民税控除(特例分):(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)」 例えば相談者が独身で年収500万円、ふるさと納税を2万円行った場合は以下の金額になります。 「所得税控除:(2万円-2000円)×10%=1800円 住民税控除(基本分):(2万円-2000円)×10%=1800円 住民税控除(特例分):(2万円-2000円)×(100%-10%(基本分)-10%(所得税の税率))=1万4400円」 ※上記は確定申告をした場合です。ワンストップ特例の場合は1万8000円全額が、翌年6月以降の住民税から控除されます(所得税からの控除なし) ふるさと納税は、税金の控除を受けながら、地域の特産品も楽しめる制度です。また多くの自治体では寄附をした人が使途を選べるような仕組みとしています。応援したい地域や興味のある特産品がある方は、ふるさと納税を活用してみてはいかがでしょうか。 この記事の筆者:川手 康義 元製薬企業MR(医薬情報担当者)のCFP・1級FP技能士。日本ファイナンシャルプランナーズ協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営に携わっている。
川手 康義