流行りの「超短時間エクササイズ」に物申す!多くの人にとっていい選択肢じゃないワケ
強度は意図しているより低い
HIITが流行ったときの記事でも述べたように、たとえ運動している人が「自分は超短時間で、超効率的なエクササイズをやっている」と思っていたとしても、実際の強度は意図しているレベルよりはるかに低いものです。 しかも、こうしたエクササイズは、複数のタイプの運動(筋トレや有酸素運動など)を組み合わせた構成になっているものがほとんどです。 そのため、どの運動も中途半端に終わり、効果が発揮されるレベルに達していないおそれがあります。 では実際問題として、人は誰の助けも借りずに、4秒間エクササイズ(たとえば、スロープを全速力で登る運動を繰り返す運動)をやり遂げられるでしょうか? できる人もいるでしょう。 でもこの場合、必要とされる回数をこなし、さらに運動の間に必ずとるべきとされている休息時間を加えると、すでに15分間のエクササイズと変わらないくらいの時間がかかっているはずです。
短時間エクササイズだけに頼ってはいけない理由
では、別のタイプの、人気の短期間エクササイズについても考えてみましょう。 「greasing the groove」(GtG)と呼ばれるトレーニング方法は、かなり大量のエクササイズを、1日のなかで何回かに分けて繰り返し行なうものです。 たとえば、懸垂を1セット、1時間に一度、毎時間繰り返します。確かにこのトレーニングを毎日行なえば、かなりの回数の懸垂をこなせる計算になります。 でも、懸垂だけを極めることに、どんなメリットがあるのでしょうか? 通常のエクササイズとは別に、懸垂のスキルを磨きたいというなら、これはすばらしい方法です。 でもこれだけでは、身体能力をまんべんなく高めるエクササイズプログラムの代わりにはなりません。 懸垂トレーニングだけに専念していると、脚の筋力や押し運動で使う筋力、有酸素運動能力の向上などは望めません。 健康で引き締まった体を手に入れるには、筋トレと有酸素運動の「両方」が必要なのです。 エクササイズに関する複数のガイドラインでは、軽い運動なら週に150分、激しい運動なら75分を「最低ライン」として推奨しています。 しかもこれは、筋トレの時間を含めない、有酸素運動だけの数字です。 150分間のウォーキングや、75分間のジョギングなど、自分が好きな運動を組み合わせて、所定の時間を確保するのでもかまいません。 15分間のセッションを3回行なうことで、このうち45分を埋めるというのも悪くないでしょう。 でもその3回だけで、ガイドラインが定めた残りの時間のエクササイズはしなくて済むのかといえば、そんなことはないのです。