インティマシーコーディネーターの導入で何が変わるのか 俳優の「できません」は当然の権利
■監督と俳優の関係 「そこにパワーバランスがあることを気づくことがとても大事」
――俳優の意見と監督の意見が一致しなかった場合に、浅田さんとしてはどのように合意形成していくべきだと思いますか? 浅田さん:インティマシーコーディネーターを入れるか入れないかっていうところに関しては、私は雇われる側なので、「入ります!」とは言えないんです。 予算であったり、スケジュールであったり、いろいろなことをプロデューサーは考えた上で、入れる入れないっていう判断をされていると思うので、そこに関しては私が何かこう介入するのは難しいんですけれども、インティマシーシーンと言われているヌードであったり、性的な描写があるシーンにおいて、監督と俳優の意見がこう合わないという時は、まずそこにパワーバランスがあることを気づくことがとても大事だと思うんですね。 よく監督が「信頼関係があるから大丈夫」っておっしゃるんです。でもその信頼関係ってすごく危ういもので、信頼関係があると思っているのは監督だけで、「何でも言ってね」って言って、何でも言える俳優はとても少ないと私は思っています。 監督、プロデューサーというのはキャスティング権があるといいますか。次に使う使わないとか、そういうことにもやっぱり関わってくることなので、やっぱりパワーバランスっていうのは、潜在的に存在するもの。それをなくすってことはできないです。なので、そこでどうやってうまくやっていくか。監督は、自分はいかに権力を持った人間かっていうことをきちんと認識して、その認識を持って、俳優に対して接することが大事だと思っています。