デフレ脱却は進んでいる? 消費者物価指数、企業向けサービス価格で分析
日銀が2%の物価目標を掲げてから丸3年が経過しました。黒田総裁は「物価の基調は改善している」との認識を示していますが、本当に日本のデフレ脱却が順調に進んでいるのか、改めてチェックしたいと思います。 まず、日本の物価指標を確認すると、消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品、以下コア物価)の上昇率は2014年に一時1%台前半まで高まる場面がありましたが、最近はゼロ%近傍で推移しており、物価目標から遠のいています。
次に、この物価変動の要因を整理していきます。まず、物価変動の大部分を説明しているのはエネルギー価格と為替の変動です。 それは輸入物価と消費者物価の推移をみれば一目瞭然でしょう。14年前半までは円安によって輸入物価が上昇したことを背景に消費者物価が上昇。しかしその後は同年後半にスタートした原油安の影響によって輸入物価下落、それが消費者物価に波及したという流れです。
一方、エネルギー価格の変動を除いた消費者物価指数(除くエネルギー・食料、以下コアコア物価)の上昇率は前年比+0.7%としっかりとプラス領域で推移しており注目に値します。 ここで重要となるのが、コアコア物価は需給ギャップと強い連動性が認められているということです。需給ギャップとは、需要と供給能力のバランスを意味します。 下図の見方は、需給ギャップが上に行くほど需要超過で物価上昇、反対に下に行くほど供給過剰で物価下落という関係です。最近の日本経済は少子高齢化の影響もあって人手不足が深刻なので、それが背景にあると推測されます。要するに、経済の供給過剰が解消されたので物価が上昇しているという、ある意味で前向きな動きです。経営者からすると人手不足は深刻な問題なので手放しには喜べませんが、労働力が余って失業率が上昇するよりは、はるかに望ましい状況といえるでしょう。 もちろん、これは日銀にとっても朗報です。これが日銀の金融緩和の効果なのかは別の議論になりますが、それでも日銀からすれば、自らの金融政策が正しいことを主張するうえで、重要なデータとなります。