人気FP「利上げ局面で商社株は要注意だ」2025年の株式投資は「やり方を変えなさい」…注目銘柄大公開!
いま狙い目の「地銀」
――すみません、政策保有株って何でしょうか……? 政策保有株とは、企業が純粋な投資ではなく、取引先との関係維持や買収防衛などといった目的で保有している株式のことです。特に銀行は「地方の名士」的な企業も多く、その地方の上場企業の大株主に名を連ねているケースが多々あります。有名どころでは京都銀行。同行は任天堂、村田製作所、ニデックなど京都に本社を置く企業の大株主です。 ――その政策保有株を持っていると、何か問題があるんですか? はい。取引先の株なら現経営陣の方針に反対せずに〝言いなり大株主〞になってしまう危険性がありますよね。それではコーポレートガバナンスの観点から問題ですし、そもそも投資目的ではないのだから、資本効率上も問題があります。だから東京証券取引所からも「保有している合理的な説明ができない場合は、政策保有株を売却して資本効率を高めるように」と、指導が入っているのです。 ――その問題視されている政策保有株を売ることで、より投資家にとって有望な会社になるかもしれない、ということですか? その通りです。政策保有株に関しては、トヨタなどの業界トップ企業が売却を表明し、金融業のなかでも損保各社が追随。さらに「動かないのではないか?」と言われていた地方銀行も一部が動きだしたかたちです。 2024年3月期決算では数行が政策保有株に言及していましたが、25年3月期決算ではさらに増加すると予想されるので、政策保有株の処理等を表明した地銀は「狙い目」と考えています。
その会社は金利が上がっても必要とされるのか
――地銀株、今からでも面白そうですね! さらに地方銀行の一部には、「モノ言う株主」である外資のアクティビスト的な投資会社が大株主になっている銀行もあります。変革という観点でいえば、銀行株だけでなく、一般の事業会社でもアクティビストが大株主に名を連ねている銘柄は注目していいと思います。 ――会社四季報などで、各銘柄の大株主のリストにも目を通してみます! その際には、財務内容の「自己資本比率」(総資本のうち純資産の占める割合)も見てください。自己資本比率が低い企業は、金利上昇時代には要注意です。自己資本比率が低いと業績が赤字になったときにカバーする体力がないとされ、信用力も低いので資金調達にも難儀するからです。逆に、金利上昇が業績にあまり響かないのは、自己資本比率が高く有利子負債が少ない企業になります。 ――やっぱり無借金企業のほうが金利上昇時代は強いんですかね? たしかに、極論すると「有利子負債がゼロの企業が最もいい」となるかもしれませんね。ただ、設備投資などを積極的に行わないと成長がままならないケースもありますので、単純に「有利子負債がゼロだからいい」というわけではないのが難しいところですね。 ――やはり、銘柄の情報を細かく見る目が必要ですね……。 ひとつ有効な目線としては「その業種(業態)は金利が上昇しても必要かどうか?」と考えることです。たとえば、金利の上昇の有無にかかわらず風邪をひいたときやケガをしたときには医者に行きますよね? つまり薬の需要は減りません。また、一日3食を2食に減らすこともないでしょう。通勤・通学も通常通りですから鉄道会社などの輸送量が変わることもない。 これら日常的に使うインフラ業態の企業は「金利上昇にも強いディフェンシブな企業」と言えます。ただ、電鉄株は有利子負債が多い業種なので、有利子負債にこだわると投資候補に入ってこなくなるので注意しましょう。 深野康彦著「金利で損しない方法、教えてください!人気FPが教える金利上昇時代の『お金の新ルール』」(扶桑社)
深野康彦
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