立大・安藤圭佑「確実に」箱根駅伝史上最長ブランク63年ぶりシードへ 監督不在期間は主将・コーチ・選手の三刀流
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で3年連続30回目の出場となる立大が15日、埼玉・新座キャンパスで記者会見を行った。10月の予選会1位通過で勢いに乗って1962年以来、史上最長ブランクとなる63年ぶりのシード権(10位以内)奪回が目標だ。主将の安藤圭佑(4年)は今年1~3月の実質監督不在期間は学生コーチも“兼任”。練習メニューを組み立てながら主将、選手と1人3役をこなしてチームをまとめた。大黒柱は最後の箱根路を全力で駆け抜ける。 集大成の箱根駅伝が着々と近づいてきた。安藤は「目標はシード権獲得。確実に達成して、良い形でこの1年間を締めくくりたい」と目を輝かせた。これまで箱根は10区、9区を担ってきたが、4年生となって希望するのは往路の主要区間の1~3区だ。2~8日の千葉・白子合宿では「スピード練習でも距離走でも、今までで一番余裕を持ってこなせた。前半区間が希望と言えるくらい自信がついてきた」と胸を張る。 主将として引っ張ってきた。「どん底のようだった」と振り返るのは、今年4月に駒大OBの高林祐介監督(37)が就任するまで実質、指導者不在だった1月からの約3か月間。学生コーチ役も兼務し「ノウハウも何もない」という状態ながら、今までの練習を参考にしてメニューを組み立てた。今季の立大は一人一人が自立したチーム。安藤は学年関係なく意見を聞き「良い部分は壊さないように」とコミュニケーションを大切にしながら主将、選手と1人3役をこなす徹底ぶり。自分の練習が終わっても、全員が帰るまでグラウンドに残って仲間の状態に目を配った。 4月以降は、高林新監督から「自分のことに集中してほしい」と声をかけられ、自身の強化に没頭できるようになった。これまでスピード重視だった練習に、新指揮官が取り入れた駒大流の距離を踏む練習も増え、選手に粘り強さが加わった。 安藤は10月19日に箱根予選会を1位通過後、母校の愛知・豊川高で保健体育科の教育実習に向かった。実習をしながら、朝と放課後に母校で調整。タフな日程ながら、11月の全日本大学駅伝は最終8区を区間8位とまとめ、初のシード権獲得に貢献した。 卒業後は競技の第一線から退く。「陸上を始め、10年目の集大成。支えてくださった方々にいい報告をして終わりたい」。狙うは史上最長ブランク63年ぶりのシード権。箱根での最高のラストランで立大の新たな歴史を刻む。(手島 莉子) ◆箱根駅伝のシード権ブランク獲得 2009年に8位で43年ぶりにシード権を奪回した明大が最長ブランクでの獲得。立大は6位となった1962年が最後で今回、63年ぶりにシード奪還すれば、明大を大きく上回ることになる。 ◆立大 1920年創部。箱根駅伝は34年に初出場し、57年に最高の総合3位。27度目の出場だった68年(11位)を最後に箱根路から遠ざかっていたが、2023年大会で55年ぶりに出場し18位、24年は14位。出雲駅伝は出場なし。全日本大学駅伝は24年に初出場で7位。練習拠点は埼玉・新座市。タスキの色は江戸紫。長距離部員は選手42人、学生スタッフ14人。主な陸上部OB・OGは36年ベルリン五輪800メートル代表の青地球磨男、16年リオ、21年東京両五輪で女子20キロ競歩代表の岡田久美子(富士通)。 ◆安藤 圭佑(あんどう・けいすけ)2002年7月11日、愛知・豊川市生まれ。22歳。豊川東部中から豊川高に進み、全国高校駅伝は2年時に7区、3年時に1区出走。立大のコミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科に進み、箱根駅伝は2年時に10区15位、3年時は9区18位。自己記録は5000メートルが14分13秒95、1万メートルが29分13秒26、ハーフマラソンが1時間3分59秒。169センチ、53キロ。
報知新聞社