ドコモがLTE-Advancedを発表、技術的な特徴を分かりやすく解説
NTTドコモは、従来のモバイル通信サービス「LTE」を高速化させた「LTE-Advanced」(サービス名:PREMIUM 4G)を3月27日に開始します。LTEが誕生した時も、WiMAXが誕生したときもそうでしたが、このような新しい方式の高速通信サービスが誕生すると、世の中では「最高速度」にばかり注目が集まりがちです。しかし、ユーザーにとってのメリットはそれだけなのでしょうか?NTTドコモが行った発表会を取材して探ってみました。
次世代の高速通信規格「LTE-Advanced」とは
ひとことで言うと、LTE-Advancedはその名の通り、LTEの“進化版”と言えるものです。私たちが普段スマートフォンやタブレットなどで利用しているモバイル通信サービスの規格「4G LTE」は、厳密には「4G(第4世代)」ではなく、4Gに盛り込まれる技術スペックの一部を実現した「3.9G(第3.9世代)」にあたる規格。2010年12月に国際電気通信連合が「3.9Gを4Gと呼称してもいいことにする」と取り決めたために、一部の事業者はLTEのことを「4G LTE」と呼んできましたが、LTEに様々な高速・大容量化技術を盛り込んだLTE-Advancedが“4Gの真の姿”と言うことができるのです。もちろん、LTEとLTE-Advancedは互換性があるので、従来のLTE端末はLTE-Advancedのエリア内でも使用することができますが、LTE-Advancedのメリットを利用するためには専用端末が必要です。 では、LTE-Advancedにはどのような技術的な特徴が盛り込まれているのでしょうか。NTTドコモのLTE-Advancedを例にとると、「キャリアアグリゲーション」と「高度化C-RANアーキテクチャ」という2つのテクノロジーがデータ通信の高速・大容量化に大きな役割を果たしています。
複数の電波を束ねてデータ通信を高速化する「キャリアアグリゲーション」
複数の異なる周波数の電波を束ねて通信を高速化するキャリアアグリゲーションは、KDDIが既にLTEサービスの中で先行提供を開始しているため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。具体的には、スマートフォンやタブレットが今まで1つのひとつの周波数の電波を使ってデータの送受信を行っていた(シングルバンド)に対して、キャリアアグリゲーションではひとつの端末に対して複数の電波を同時にデータの送受信に使うことで、送受信の効率化、高速化が可能になります。また、複数の電波を同時利用することで、どちらかの電波が混雑していた場合にはもう一方の電波を優先的に使ったり、混雑しているエリア内でひとつの周波数に掛かる通信負荷を分散させたりといった利点も。携帯電話各社が保有している周波数帯域を効率よく運用して、データ通信の高速化を実現することができる技術です。