ハレの日のご馳走にもなる!「太巻き」と「いなり」の雑学 いつから食べられていたの?
家庭の味であったり、お祝いの場の逸品であったり。はたまた寿司店での〆に食べることも。太巻といなりは常食ではないものの、日常に溶け込んだ定番となっている。今回は、手土産にもよし、わざわざ食べに行くのもよしのちょっと贅沢な太巻。様々な思いを喚起させてくれる美味を召し上がれ! 【画像ギャラリー】日常に溶け込んだ定番のお寿司!太巻きといなり
懐かしのハレの日のご馳走を味わおう!
昭和世代の人にとって、太巻といなりと言えば真っ先に頭に思い浮かぶのは、家庭で手作りされたそれではないだろうか。我が家では子どもの頃、誕生日になると母がお寿司=太巻を巻いてくれた記憶がある。具材は何だったか。かんぴょう、玉子焼き、しいたけ、でんぶ……。 運動会になると友達が持って来ていたおいなりさんも懐かしい。ジューシーなお揚げに酢飯がたくさん入った大ぶりなものを思い切り頬張った。いずれにしても、ちょっとハレな日に食したご馳走で、ほんわりと温かい記憶とともにある。 そんな太巻といなりだが、いずれも食べられるようになったのは江戸中期と言われている。いなり寿司は、天保年間(1830~44年)には、安価なストリートフードや見世物小屋での定番として江戸で人気を博したという。
巻き寿司は当初、「竹の皮」で巻いたものも!?
一方、巻き寿司の登場は文献によれば1700年代中頃で、1783年ごろに一般化したと考えられている。板海苔は当時はまだ高級品だから、誕生間もないころは、薄焼き玉子やフグの皮、竹の皮で巻いたものも多くあったなどという話もなかなか興味深い。 そして、いなりも太巻もソウルフードとして地方色があるのが特徴だ。 「おいなりさんは、関東だと甘味処に置いてあるけど、九州ではうどん屋さん。このへんが大きな違いだね」は今回の取材中あるお店のご主人から聞いた話だが、確かに味の傾向も違う。 関東では中は白酢飯ベースで甘じょっぱいタイプが多いし、関西から西になると五目など酢飯に具が増えて、味付けはおダシベースでややすっきり。形も東は俵型だが、西は狐の耳のような三角形もあるし。 海苔巻と言えば、関東ではかんぴょうの細巻を指すことが多いのに対し、関西ではだいたい太巻を指す。だから、思い起こすタイプや好みも人によって違うかもしれないが、改めて食せば皆旨し。それも含めてぜひお楽しみを! 撮影/鵜澤昭彦、文/池田一郎 ※2024年11月号発売時点の情報です。 …つづく「厳選!太巻き寿司 東京 4選!具沢山が楽しい太巻きいろいろ!」では、覆面調査隊が具だくさんが楽しい東京都内の太巻きを実食レポートしています。